2022年 有力EC事業者・有識者が市場を予測
- 2021/01/21
- 日本ネット経済新聞
- 2022年 有力EC事業者・有識者が市場を予測
有識者に聞く!【2022年 EC市場展望】〈資材調達難〉
キレイコム
中国を中心としたアジア越境EC市場は、引き続き大きな盛り上がりを見せている。コロナ禍の影響で市場規模の拡大が確実視される中、海外企業も含む競争の激化も予測される。中国への越境EC支援などを手掛けるキレイコム(本社東京都)の上田直之社長は、ニーズや消費行動の分析に基づく現地に根差した商品企画の必要性を指摘する。
事業者への支援や現地とのやり取りを通じ、日本企業が成功を収めるための難易度が上がってきていることを肌で感じている。事業として本腰を据え、現地の消費者と真剣勝負をするという熱量とスピード感がより求められてくるだろう。
「独身の日」の取扱高などからも分かる通り、日本ブランドは依然として高い支持を集めている。その反面、商品力に頼り、適切な事業展開を行えていない企業が数多くあるのも実情だ。
市場の成熟とともに、中国の消費者も海外商品をECで買うことに慣れ、良い意味でわがままになっている。「中国人は商品を7回見ないと買わない」という業界内の言葉通り、購入に至るまでのハードルは日々高まっている。
「日本で売れている商品は中国でも売れる」という、一種のばくちめいた考えからは早々に脱却しなければならない。
コロナ禍の影響もあり、市場規模が今後も拡大していくことは間違いない。その商機の中で中長期的なスパンでの勝ち筋を明確に描けている日本企業は少ないという印象だ。
例えば、ライブコマースを大々的に行い単発での成功を収めても、その次の一手を計画・実行できずにチャンスを逃すケースも多い。ライブコマースの先に継続した越境ECでの販売、越境ECの先に一般貿易をも視野に入れるような本腰を入れた事業戦略が必要になってくる。
「消費者が求めるものを開発し販売する」という行為は商いの基本中の基本だ。国内ECだと当然のように実行できているこの鉄則が、越境ECとなるとぼやけてしまう企業が多く見受けられる。
価格設定も含め、現地に合わせた「商品企画」への意識が、越境ECに取り組む事業者の明暗を分けるポイントになるだろう。国内事業の延長線上ではなく、エンドユーザーの消費行動やニーズをつかんだ展開が強く求められる。
中国に限らず、目の肥えた海外の消費者に訴求するためには、国内同様に市場調査やペルソナ設定などを経て焦点を絞ったマーケティングが必須だ。
競争が激化する中国を敬遠し、東南アジアへと越境ECの矛先を向ける事業者も増えてきている。ベトナムを筆頭に東南アジア各国EC市場の拡大と経済成長は著しい。
中国進出では遅れをとった企業にとって、今年は東南アジア市場で優位性を得る最後のチャンスかもしれない。アジア圏の越境ECは、今後中国と東南アジアとの二極化が加速していくだろう。
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