2022年 有力EC事業者・有識者が市場を予測

有識者に聞く!【2022年 EC市場展望】

21年中国進出は難航勝てる戦いを

JUTOU

社長 辻雄多郎 氏 21年中国進出は難航勝てる戦いを

約10年中国市場のビジネスに携わり、コンサルティング事業を展開してきたJUTOU(ジュートウ、本社東京都)の辻雄多郎社長は、「21年の中国進出は、勝ち負けがはっきり分かれることになる」と予測している。

 中国市場進出は、売り出す「商品」が重要だ。21年、新規の進出成功が特に困難だと考えられる商品ジャンルは、「化粧品」や「アパレル」だ。ブランドや知名度が重視されるジャンルであるため、中国で無名の国内ブランドは、世界的に有名なブランドの商品や、中国ローカルブランドの商品、莫大な広告費を持つ企業の商品の中で、埋もれてしまう。
 今当社で注目している商品ジャンルは「食品」だ。販売自体が難しい、賞味期限が短い「生鮮品」や、中国現地での成分の規制の厳しい「健康食品」を除けば、食品全般にチャンスがある。例えば、「日本酒」や「お菓子」などだ。この分野は、ブランドや認知度が重視されないため、新規の中国越境EC進出でも勝てる可能性が高い。
 中国越境ECに初進出する際の販売チャネルとしては、「天猫(Tモール)」と「Taobao(タオバオ)」を当社では推奨している。小さなモールなどへの出品で失敗した場合、「集客」が悪かったのか、「商品力」に問題があったのかなど判別が付かず、課題点の見極めが難しくなる。
 SNSは既存顧客へのリテンションマーケティングには最適だ。しかし、SNSに大きな投資を行っても、中国で知名度がない場合、新規顧客獲得やCVにつなげることは難しい。当社では月4万5000円から「WeChat(ウィーチャット)」の運用代行を請け負っている。SNS運用のコストは抑え、インフルエンサープロモーションに注力することを薦めている。
 ライブコマース市場は今後も成長を続けるだろう。リスティング広告が予算重視で寡占状態となっている今、ライブコマースでの販売・プロモーション・ブランディングは、成果報酬型の契約であれば、日本企業にとって比較的コスパが良い。
 適切なインフルエンサーとつながり、適正価格でプロモーションを行うことが重要になってくる。しかし、「人気商品でなければ、人気の高いインフルエンサーに取り扱ってもらえない」という問題点もある。
 中国での認知度が低い商品は従来、インバウンド顧客を通して認知度が高まり売れ行きが伸びるケースが多かった。コロナの影響でその道がふさがれてしまった現在、「商品を日本の実店舗で販売していて、在日インフルエンサーともつながりがあり、広めてもらえる」企業には勝機があるだろう。
 当社では企業に、「中国越境EC事業の内製化」をしていただきたいと思っている。そのため、顧客企業が将来的にひとり立ちできるよう、ターゲットの絞り方から、良いインフルエンサーの見抜き方、中国で売れる商品の開発法、効果的なマーケティング方法までを、コンサルティングさせていただいている。


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