【中国越境ECの”今と現実”】第13回 美容・ベビーに強い日本

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 今回は、中国越境ECにおいて、どのような商品が売れているかについてお伝えします。4月22日・23日に東京ビッグサイトで開催された、Eコマースのイベント「ダイレクトマーケティングフェア2019通販・ECエキスポ」のセミナーで、「いま、中国越境ECでは何が売れているのか」に関してお話をしましたので、その中から要点をかいつまんでお伝えしたいと思います。


■美容関連のニーズが高い

 JETROの「中国の消費者の日本製品等意識調査」によると、「日本から越境ECで何を購入したか」という問いに対して、一番多かったのは「基礎化粧品(46・9%)」で、2位が「メイクアップ化粧品(46・1%)」、3位が「食品(43・5%)」でした。化粧品に関する回答だけをピックアップすると、5位に「フェイスケア用品」、9位に「ボディケア用品(27・8%)」が、10位に「フェイスマスク(26・9%)」が入っており、上位10位の内の半分を化粧品が占めています。
 ”爆買い”の象徴として日本国内のニュースなどで目にすることが多かった、「炊飯器」や「温水洗浄便座」などはトップ10に上がっていません。このように、インバウンドでの売れ筋と、越境ECでの売れ筋は多少違っています。
 「今後、日本から越境ECで購入したいもの」という質問では、同じく1位が「基礎化粧品(38・2%)」となっていますが、2位は「デジカメ(30・9%)」、3位は「医薬品(27・6%)」となっています。ちなみに「炊飯器」は8位(23・6%)にランクインしており、まだまだ一定のニーズはあるものと思われます。そして、コスメ関係は同じく10位以内に5商品がランクインしています。コスメは今も人気があり、これからも人気が予想されるカテゴリーとなっています。
 これらから分かる通り、中国越境ECにおいて、日本の商品、特に化粧品は現在大変人気があり、「今後買ってみたい」商品であるともいえます。
 アリババグループの越境ECプラットフォーム(天猫国際・淘宝国際)においては、美容関連カテゴリーが、15~17年の3年で3倍以上に成長し、17年には100億元(約1650億円)に迫る勢いとなっています。もちろん、日本以外の美容関連商品も人気が上がっていますが、成長率としては日本が最上位となっています。


■日本商品需要依然高く

 次に購入者である中国人側から見てみます。全世界からの越境ECについてみても、人気のあるジャンルは、日本からの越境ECと同様、美容関連です。流通額も大きく、最も人気のあるカテゴリーとなっています。美容ジャンルでは、日本以外でいうと、米国や欧州の商品、韓国の安価な商品に人気があります。
 ベビー用品についても、日本・米国・欧州の商品の人気が高いです。
 サプリメントは、オーストラリア・日本・米国が強く、ファッションでは米国・欧州、そして韓国の安価な商品の需要が高いです。食品(主にお菓子)では、日本や米国、面白いところではタイなどの商品が人気があります。
 このように、主要カテゴリーでは、日本の商品が人気となっています。
 ジャンルにもよりますが、日本商品の需要はまだまだ高いです。しっかりと売り上げを作りながら認知度を上げていけば、最終的には輸出で市場を取りに行くという道筋が整えられるのではないでしょうか。


〈プロフィール〉
小嵜 秀信氏
 Eコマース初期より大手企業のECサイト・通販運営に従事。その後、EC事業会社、ECシステム会社の経営を経て、中国国内にて輸入品スーパー事業と中国越境EC事業などを手掛ける。また、日本初のEコマース学術研究機関である東海大学総合社会科学研究所Eコマースユニットにおいて、客員准教授として学術研究・教育にも従事。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

中国越境ECの”今と現実” 連載記事
List

Page Topへ