【ネットショップ「売れる」デザイン・演出テクニック】夏フェスから読み解く消費購買行動

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 いよいよ夏も後半にさしかかりましたが、毎日のように全国各地で開催されている夏の音楽フェス。暑い中、人々はなぜ集うのか? そこから見えてくる消費購買行動を考えてみました。
■準備段階から盛り上がる秘訣
 年々CDの売り上げは減少傾向にありますが、ライブの市場規模が伸び続けており、ライブの中でも特に夏フェスを好む人が増えているそうです。
 音楽をただ聴くだけなら方法はいくらでもありますが、ライブ会場で聴くという行為は聴覚だけではなく視覚・触覚まで含めた「総合的感覚体験」です。この体験は購買行動プロセスに通じる部分が多々あります。
 まず「準備」段階ですが、ウェブ検索などで目当てのイベントを調べます。さらに同じような目的の誰かと一緒に参加したい場合、仲間を見つけようとします。
 つまり「どこで・誰と」となるわけですが、同じものに興味を持つ仲間を見つけ、そのことで安心感を得るというプロセスは、「購入者レビュー」を見て購入に積極的になる行為と近いものがあります。
 そしていよいよフェス参加当日。目当てのアーティストの演奏を聴くのはもちろんのこと、有名店の「屋台飯」や「ワークショップ」などの催しも同時に提供されており、「複合的かつ多様性ある場所」として音楽以外の価値提供を行う場となっています。
 いわば「祭り」なわけですが、祭りだから成立する商品と価格帯や、それに対する消費者の購買判断の緩和や高揚感はある種のトランス状態ともいえます。
 購買行動に置き換えるとSALEイベントに近いかもしれません。これらは「楽天市場」における「お買いものマラソン」といったイベントともいえます。
 SALE時期に店舗を訪れた際、催しが同時に開催されていたという事実や、イベントまでのカウントダウンバナーなどの煽りによって焦燥感と高揚感を与えることができます。
■露出と興味は比例する
 フェスに参加した後の行動としては、SNSなどを経由しての写真や動画投稿が最も主流です。
 ここで重要なのは、写真や動画を投稿するのはそのときフェスに一緒に参加していない人々に向けてというケースがほとんどということです。
 そして、その投稿に対して「いいね」や「コメント」が付くことがさらに価値を高め、同時にフェスを楽しんでいる姿がシェアされることでフェスそのものが自然と宣伝されることになります。
 ECにおける購入者レビューの存在も、商品に興味がある消費者の興味をさらに高めるのに役立ちます。興味のない潜在客が見込み客に変わる可能性すら秘めています。
 特に実店舗では接客を受けるのが苦手な方でも、EC経由の購入者レビューとなると話は別で、非常に詳細なことまで記入して投稿してくださるケースがほとんどです。
 1人のお客さまの評価が、万人の興味に変わることは多々あります。中でも、直接肌に触れる化粧品や口に入れる食品、ハードルが高い高額商品、レビューが付きにくいニッチ商材はレビューを非常に重要視します。
 お客さまが購入を決定する際「価格」要因の次に重要視するのは「レビューの評価」です。ですから商品ページ上に「購入者の声」のブロックの設置は必須です。
 数あるレビューの中からよい評価点と悪い評価点を確認し、デザイン表現を改善することも大切です。レビュー内の評価を店舗運営にいかに生かしていくかは社内会議をする程の意義があるでしょう。そうする中で消費者志向の店舗運営へと近付いていきます。
 昨今は口コミ評価への疑心が高まっていますから必ずしも高い評価だけでなく、ネガティブな意見も掲載することで信頼性を構築できます。「正当な評価をされている店」といった認識が生まれ、結果的に安心感の訴求を実現します。
 レビューは数ではなく「質」です。お客さまからの評価はお店づくりの基盤。振り返りと反省を繰り返しさらなる改善に努めよう!

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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