【ネットショップ 「売れる」デザイン・演出テクニック】連載112 コミュニケーションするピクトグラム

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 7月23日に開催された、東京オリンピックの開会式。例年にはない静寂の中で行われた開会式でしたが、その中で、国内外から大きな注目を集めたのが「ピクトグラム」を利用したパフォーマンスでした。今回はピクトグラムのルーツをたどるとともに、ECでの役割について考えます。


■ピクトグラムのルーツ

 ピクトグラムは、言語を使用せず直感的に情報を伝えることができる視覚記号です。多くの人が利用する公共施設などで目にする機会が多いピクトグラムは、その国の言葉に慣れていない外国人や子供、文字が読みづらい高齢者、障害者にも瞬時に意味が伝わるよう、単純化した図柄と単色を用いるのが特徴です。
 ピクトグラムのルーツは1920年頃のオーストリアまでさかのぼります。経済や社会情勢を市民に分かりやすく伝えるためにオーストリアで考案された「アイソタイプ」が基になったと言われています。
 世界的に浸透するきっかけとなったのが1964年に開催された東京オリンピックでした。
 言語の壁を取り払う、視覚的なサインとして、誰が見ても分かる”シンボル”を採用したのがピクトグラムなのです。
 最初は、オリンピック競技を含む約39種類が考案されました。デザイナーが意図的に著作権を持たなかったため、やがて世界的に採用されるようになりました。
 伝えたい情報を瞬時にイメージできるのがピクトグラムの魅力といえます。ただ、受け取る側の認識や理解度は未知数であり、場合によっては全く違うものをイメージしてしまう懸念もあります。
 その一例として、20年の東京オリンピックを見据えて経済産業省がデザイン変更を検討していた「温泉マーク」が挙げられます。
 日本人にとっては非常に馴染み深い湯気のマークも、外国人には食べ物のように見えたりして、理解に差が生じてしまいました。結果的に、現行の湯気のマークと、湯気に人物を加えた国際規格を併用する形で着地しました。
 世界共通で認識されやすい、「トイレ」や「リサイクル」を表すピクトグラムについては、イラストのみを使用しても差し支えないかもしれません。ただ、「落石」や「津波」など、注意喚起を促すような場合は、確実に意味を伝える必要があります。
 このような場合、イラストと文字を組み合わせたり、危険を認識しやすい色を用いたりすることで、多くの人が瞬時に理解できるよう配慮すべきではないでしょうか。


■ECの中にあるピクトグラム

(続きは、「日本ネット経済新聞」8月19日号で)

〈著者プロフィール〉
 長山衛(ながやま・まもる)氏
 某大手食品ECサイトで運営を手掛けた後、08年10月にECサイトの運営代行などを手掛ける株式会社ネットショップ総研を設立。
 11年11月に「食品ネットショップ『10倍』売るための教科書 リピーターを確実に増やす商品プレゼン77のテクニック」(日本実業出版社)を上梓。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

「売れる」デザイン・演出テクニック 連載記事
List

Page Topへ