【Eコマース業界地図 「物流編」】 〈インタビュー〉ラストワンマイル協同組合 志村直純理事長/恒久的に料金は上げない

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 EC事業者の「物流」に関する支援サービスを、ECのネットメディア「Eコマースコンバージョンラボ(eccLab)」と共同でまとめた。サービスマップには物流代行サービスに加えて、宅配サービスや倉庫管理システム(WMS)などもカテゴリー別に収録した。物流支援事業者は玉石混交。自社の事業にマッチしたパートナー選びの参考にしてほしい。

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 首都圏を営業エリアとする運送会社23社が設立したラストワンマイル協同組合(事務局東京都、志村直純理事長)が9月12日、都内・三鷹地区で配送サービスを開始した。徐々に配送エリアを拡大し、1都3県(神奈川・埼玉・千葉)を網羅する予定。志村理事長に4月の会見以降の状況を聞いた。

■70社から打診
 ─4月の発表後、荷主側からの反応は。
 大手のお客さまから引き合いが来ており、上場会社が95%となっている。当初50〜60社から打診があり、全体としては70社くらいから寄せられた。6月からサービスを開始する予定だったが、説明会や契約書のリーガルチェックなどで時間を取られた。サービス開始は9月の予定だ。
 ─最初に打診があった50〜60社の業種は。
 3分の2が通販事業者、3分の1が倉庫・3PL事業者だ。実際にお会いした温度感でいうと、最もやる気になっているのは3PL事業者だ。協同組合の配送料金はオープンとなっておりホームページで確認できる。3PL事業者はAやBのタリフ(料金表)で荷物を預かり、われわれにはCかDで出荷する。それによって中抜きができる。ただ一番時間がかかるのも3PLだ。クライアントに了承を取らなければならないからだ。

■リスクヘッジも
 ─それだけ問い合わせがあるのは期待と同時に、かなり困っていることの表れだ。
 やはり配送料金が違いすぎる。われわれの料金は大手宅配便事業者の約7割引。1個当たり300〜500円違う。中堅会社だと1日に1万個くらい出荷しているので1日に500万円、年間300日として15億円違ってくる。さらに、今後のリスクヘッジを考えている。意外だったのはお客さまの6割が現状共同組合の料金よりも安く取引している。それでも要望してくるのは将来におけるリスクヘッジのためだ。
 ─実績が出てくれば取扱量も増えて共同組合でも運べない状況は考えられないか。
 共同組合としては当然限界があるので、キャパシティーがいっぱいになれば契約を止めてしまう。現在の想定では60社くらいが限界だとみている。あとは季節によって需要が異なる荷物もお断りしている。具体的には中元・歳暮などだ。波動があると処理が大変だからだ。ある意味、恒久的に料金は上げないスタンスでやっているので、そこをみなさん期待している。

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