【Eコマース業界地図 「物流編」特集〈台頭するモール物流の実力〉】 楽天〈物流代行〉/”安さ”以外も強み/配送品質保証マークも検討

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佐藤敏春シニアマネージャー(写真左)と玉利祐太朗ヴァイスジェネラルマネージャー

佐藤敏春シニアマネージャー(写真左)と玉利祐太朗ヴァイスジェネラルマネージャー

 楽天が提供する物流サービス「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」は、安価な配送運賃だけではなく、高い配送品質や営業担当者によるサポート体制も好評で、利用店舗が急増している。将来的に利用店舗の商品に高い配送品質を証明するマークを表示したり、複数店舗の商品を同梱配送したりすることも検討するという。
 「RSL」はポスト投函サイズで180円、100サイズ以下で380円という全国一律の配送料金を提供している。宅配運賃が高まる中、競争力のある配送料で利用店舗を増やしている。
 今年1月に稼働した千葉・流山の倉庫、大阪・枚方の倉庫が満床になるめども付き、3月には資本提携した関通と大阪・尼崎に新拠点を設け、8月には千葉と神奈川に二拠点を新設すると発表した。
 「配送費以外のコストも喜んでいただいている。例えば、在庫保管料は1ピース当たり月7.5円だが、費用は日割りで出しており、実際に保管した分しか請求しない。毎日、在庫レポートを提供しており、専属の営業担当が適正在庫についてのサポートも行っている。入荷費用がかからない点や、配送費に資材代が含まれている点なども好評」(RFCオペレーション部・玉利祐太朗ヴァイスジェネラルマネージャー)と話す。
 業界トップクラスを目指し、配送品質も向上している。


■配送だけの支援も

 楽天では、「RSL」に商品を預け、保管から発送まで委託する以外に、二つの物流支援メニューを提供している。
 その一つが日本郵便との包括的運賃契約により提供している「楽天特別運賃プログラム」。今年9月から料金を改定し、楽天の試算によると以前より約10%の値下げになった。
 今秋から店舗の荷物の持ち込みや集荷に対応する「集荷・持込サービス」を開始する。集荷は楽天の配送サービス「楽天エクスプレス」で対応する。同サービスでも「RSL」同様の配送運賃を提供する。
 「コストや運営効率を追求している『RSL』では、店舗さまのイレギュラーな要請に対応できないケースがある。例えば手書きのメッセージカードを入れたい店舗さまは、既存の物流拠点を活用し、配送の部分だけ弊社のサービスを利用していただくことも可能。あまり注文数が多くない店舗さまは、日本郵便と提供する『楽天特別運賃プログラム』を利用し、コストを削減していただきたい」(ロジスティクス事業 戦略・企画課 佐藤敏春シニアマネージャー)と話す。


■複数店の同梱配送も

 今後は競争力のある料金体系を維持しながらも、新たな付加価値を提供したい考えだ。
 「アマゾンさんの『プライムマーク』のような表示は当社も検討したい。ただ、『RSL』から発送する商品だと分かるように倉庫マークを付けても仕方がないので、ユーザーにメリットが伝わるような表示方法を検討する」(同)と話す。
 同一倉庫で保管している複数店舗の商品を同梱発送する取り組みも検討する。
 「商品の同梱は店舗にとってもユーザーにとってもメリットがあるので検討したい。ただ、『RSL』の保管商品といっても同じ倉庫にない場合もあるので、UI(ユーザーインターフェイス)をどうするかが課題になるだろう」(同)と話す。

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