【ネットショップのための薬事広告のイロハ】連載78 打ち消し表示の注意点は?

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稲留万希子氏

稲留万希子氏

化粧品や健康食品の広告を見ると、よく「※印」(打ち消し表示)が使用されています。使い方にはルールがあるのでしょうか。注意点もあれば教えてください。(化粧品通販会社担当者)

過剰な使用は不当表示とみなされる

 キャッチコピー等で使用されている単語に※印がついていて、欄外等に目を移すとその単語の意味が書いてあるという、この見せ方は、化粧品、健康食品等広告において王道的な表現方法です。例えば、化粧品においてエイジングケアと表現する場合、「エイジングケア※」とし、欄外に「※年齢を重ねた肌に、ハリと潤いを与えること」と表記したりします。
 打ち消し表示については、景品表示法上でその定義と使用方法が決められており、過剰な使用は不当表示とみなされる可能性があります。書いておけば良い…ということではありませんので注意が必要です。
 広告する側にとって打ち消し表示とは、以下のように不都合なことを正当化するために用いられる傾向があります。

 ・できれば書きたくないけど、書かないと違反になってしまう可能性があるから書かざるをえない。でも、できるだけ目立たないようにしたい
 ・キャッチコピーで多くを語りすぎると字余りになって格好が悪い。でも書かなければいけないので※印で小さく書いておく

 打ち消し表示のあり方の参考として公正取引委員会事務総局『見にくい表示に関する実態調査報告書 ―打消し表示の在り方を中心に―』というものがあり、そこにはこう書かれています。

 【やむを得ず打消し表示が必要となるような強調表示を行う場合には、~略~その内容または取引条件が一般消費者に正確に理解されるようなものでなければならない。】

 上記のように「やむを得ず」ですので、そもそも広告主側の勝手で用いるものではないということがポイントです。
 ですので、広告主側の都合に合わせた”消費者にとってわかりにくい表示”は、それそのものが不当表示になる可能性があるということになります。

(続きは日本ネット経済新聞 2月11日号で)

〈稲留万希子氏 プロフィール〉
 東京生まれ。東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社に就職。在職中に出かけたアジア旅行で各地に根付いている東洋医学に興味を抱き、国際中医専門員、薬事法管理者の資格を取得して独立。数々のサイトをチェックしてきた経験を基に現在は、”ルールを正しく理解し、味方につけることで売り上げにつなげるアドバイス”をモットーとした「薬事法広告研究所」サービスを展開中。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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