【ネットショップのための薬事広告のイロハ】連載75 化粧品の浸透表現はどこまで可能?

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化粧品の浸透は”角層(角質層)まで”とありますが、実際どんな表現まで可能なのでしょうか?(化粧品通販会社担当者)

浸透は「角質まで」が鉄則

 化粧品である限り「浸透は角層まで」という事はよく知られているところではありますが、では表現としてどういうものであれば許されるのかとなると、疑問は残ります。
 また、実際のところ「浸透は角質にとどまるものではない(もっと深く浸透する)」という思いがある場合、お客さまに事実では無い事をお伝えする事に違和感がある……と感じる場合もあるかもしれません。
 しかしながら、結論としては化粧品の浸透はやはり「角層まで」。これが鉄則です。
 日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン2012年版」の中に次のような記載があります。

E3「角質層・毛髪への浸透」等の作用部位の表現
 化粧品において、細胞分裂がほとんど行われていない表皮の角質層や毛髪部分へ化粧品成分が浸透する表現を行う場合は、浸透する部位が「角質層」や「毛髪」の範囲内であることを併記すること。浸透して損傷部分が回復(治療的)する等の化粧品の効能効果の範囲を逸脱する表現は行わない。なお、医薬部外品の作用部位の表現を行う場合は、事実に基づき、承認を受けた範囲を逸脱しないこと。
〔表現できる例〕
 「角質層へ浸透」「角質層のすみずみへ」「髪の内部へ浸透」
〔表現できない例〕
 「肌へ浸透」(「角質層」であることが併記されてない)「肌の奥深くへ」「角質層の奥へ」「ダメージを受けた角質層へ浸透して肌本来の肌に回復」(回復的)「傷んだ髪へ浸透して修復」(回復的)「肌の内側(角質層)から……」(医薬品的)

 ここで記載されているポイントは次の3点です。
・肌の場合は「角質層(角層)」の範囲内にとどめること
・毛髪の場合は、単に「毛髪」の範囲に収まれば「毛髪へ浸透」でOK
・医薬部外品の場合には、承認の範囲を逸脱しないのであればOK
 今回のテーマは、化粧品ですので『肌の場合は「角質層(角層)」の範囲内にとどめること』のみを詳しくみていくことにしましょう。
 表現できる例として、下記が挙がっています。
○角質層へ浸透
○角質層のすみずみへ
×肌へ浸透
×肌の奥深くへ
×角質層の奥へ

 ここから分かることは、・浸透を述べる場合には「角質層(角層)」までであることをきちんと明示しなければならない・「角質層(角層)」と書いておけば良いのではなく、言葉から伝わるイメージとして角質層を『超える』と捉えられる表現なのであればNG─ということです。
 日本化粧品工業連合会における広告審査会の中でも、この角質層への浸透という表現は議題に挙がっているようで、不可と判断された表現例があると見聞きします。

(続きは日本ネット経済新聞 11月26日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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