【ネットショップのための薬事広告のイロハ】連載71 「癒し」化粧品の表現上の注意は?

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「癒し」をコンセプトにした基礎化粧品の開発を考えています。表現上、注意しなければならないことを教えてください。(化粧品通販会社担当者)

「癒し」標ぼうは不可の可能性高く表現には注意必要

 毎日使用する化粧品だからこそ、「ハリ」「ツヤ」「キメ」「うるおい」といった効果以外にも、使って”癒される””気持ち良い”…といった付加価値を求める人も多くいます。実際、香りの良さをコンセプトに開発している商品も少なくありません。
 ただ、結論から申し上げると、化粧品で「癒し」を標ぼうすることは不可と判断される可能性が高いため、表現の使用には注意が必要となります。
 「癒す」とは本来、『傷や病気などを治すこと。苦しみや悲しみなどを和らげること』という意味があります。この「傷を治す」「苦しみを和らげる」は化粧品の標榜可能な効能効果の範囲を超え、医薬品的な効能効果の暗示となるため、不可ということは良く知られている所です。一方、実際化粧品の広告として使用する場合はここまでの深い意味ではなく、「ホッとする」「幸せな気持ちになる」といった軽い意味合いで使用することも多いのが現状です。しかしながら、これらの表現も”精神に対する作用”として不可になる場合があります。
 例えば「リラックス」「テラピー」「セラピー」といった言葉には注意が必要です。よく使われる、「アロマテラピー(セラピー)」ですが、化粧品では不可と判断されます。
 「テラピー」や「セラピー」といったワードは使用せず、「アロマの香り」、「アロマでリフレッシュ」など、”アロマ”だけにとどめる必要があります。
 その他、例えば「○リフレッシュ」「○心を満たす」「○いたわる」「○和み(なごみ)」「○安らぎの香り」などであればOKと考えられます。
 「癒し」や「リラックス」も、「× 癒される●●の香り」「× ●●成分でリラックス」は精神的作用をもたらすものとして不可ですが、「○ 癒しのひとときに●●をお使いください」「○ ●●化粧品で心地よいリラックスタイムを」など、成分や化粧品の作用で「癒す」「リラックスさせる」のではなく、「リラックスする時間に」などと解釈ができる表現であれば、現実的には即不可とはならないようです。
 また、「ストレス」も使われることが多い表現ですが、本来の言葉の意味として『寒冷・外傷・精神的ショックなどによって起こる精神的緊張や生体内の非特異的な防衛反応』であるため、そのワード自体が化粧品の効能効果を越えた、医薬品的な効能効果の暗示となります。
 「イライラ」「イラッとする」なども『ストレス』を暗示させる表現であるため、同様に使用することができません。
 「○余裕がない毎日」「○外的ダメージ」「○環境ダメージ」「○生活ダメージ」「○慌ただしさ」などにとどめると良いでしょう。(月1回掲載)


〈稲留万希子氏 プロフィール〉
 東京生まれ。東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社に就職。在職中に出かけたアジア旅行で各地に根付いている東洋医学に興味を抱き、国際中医専門員、薬事法管理者の資格を取得して独立。数々のサイトをチェックしてきた経験を基に現在は、”ルールを正しく理解し、味方につけることで売り上げにつなげるアドバイス”をモットーとした「薬事法広告研究所」サービスを展開中。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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