【ネットショップのための薬事広告のイロハ】連載91 キュレーションサイトに取り上げてもらいたいのだが?

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”「言えないことが言える」という認識は間違い”

 キュレーションサイトの記事の中に自社商品を取り上げてもらおうと思っていますが、薬機法等、法律に違反する心配はないのでしょうか。
     (健康食品通販会社担当者)

 昨年末、DeNAの「WELQ(ウェルク)」をはじめとする「キュレーションサイト問題」が話題となりました。まだ問題そのものの解決を迎えてはいない印象ですが、今回は、薬機法や景表法等の視点から解説します。
 「キュレーションサイト問題」の発端はDeNAが運営する「WELQ」について、「素人が医療に関する記事を作成し、医師の監修もつけずに掲載している」…という、法律云々ではなく、サイトそのもののモラルが問われたことでした。
 その後、記事や掲載写真が無承認で使用されており著作権的に問題があることや、DeNAのマニュアルにおいてもそれを推奨するかのような記載があったことなどが発覚して、より一層報道が白熱した経緯があります。DeNAはもちろんのこと、同様のキュレーションサイト運営者に対し、非難が多数浴びせられました。
 信憑性の低い情報が上位に出てしまうことにより誤情報をうのみにしたユーザーが健康被害を訴えたことも非難に拍車を掛けたといえるでしょう。
 そんな矢先、16年12月に、複数の大手一般紙が、キュレーションサイトの表示は、薬機法上違反にあたる可能性があるなどと報じました。健食や化粧品の紹介においてはキュレーションサイトの表示が購入につながっている点が問題視されたのです。
 東京都がDeNAに対し聴取を行う予定だとする報道もありましたし、「『情報サイト』をうたって特定の製品を宣伝するサイトが他にもあるとみて調査する方針」とも伝えられました(2016年12月1日毎日新聞、同年12月7日読売新聞の報道より)。
 キュレーションサイトを構成する情報は大きく分けて(1)商品が全く絡まないもの(2)最終的に商品へ誘導するものーーーの二つに分かれます。
 問題となる可能性をはらむのは、後者の「最終的に商品へ誘導するもの」の場合です。
 特定商品名が挙げられているのであれば〝広告〟と判断されてしまう可能性がある(※)ためです。
(続きは、「日本ネット経済新聞」6月1日号で)



 ※薬機法、健康増進法で言う所の広告は、「特定商品名が明らかにされていること」の他にも「顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること」「一般人が認知できる状態であること」の3条件を満たす必要があります。
 薬機法的には「商品名」が特に尊重される一方で、健康増進法的には「顧客の誘引性」が特に尊重されるため、健康増進法の対象となる食品の場合には、例え商品名が明示されていなくても商品が容易に想像でき顧客を誘引するものと判断されれば、違反対象になり得ます。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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