《Eコマース業界地図「一元管理システム編」》バックヤード成功事例

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■テクストトレーディングカンパニー/再成長で月5億円狙う
 「atmos(アトモス」や「chapter(チャプター)」などの靴販売店を運営するテクストトレーディングカンパニー(本社東京都、本明秀文社長)は、01年のEC事業参入から業績は右肩上がり。ただ、07~09年ごろにEC事業の成長が鈍化した。店舗数の増加に伴い注文件数も増え、バックヤード業務が追い付かない状況に陥ったのだ。
 「在庫管理を手動で行っており、ずさんな部分があった。徐々に在庫ロスや売り逃しなどが増え、注文を受けた商品の在庫が切れていたこともあった。レビューの評価は下がり、カスタマーサポートの負荷が高まっていた」(EC事業責任者・岡山暢佑氏)と振り返る。
 業務改善に取り組むため、10年に一元管理システム「CROSS MALL(クロスモール)」を導入した。
 これまで店舗ごとに対応していた商品情報を一括登録できるようになり、作業を大幅に削減できた。在庫管理も一元化したことで売り逃しも減少。在庫回転率が上がることで、販売数が伸び、メーカーとの取引も強化できた。
 10年までに自社サイトに加えて楽天やヤフーに出店していたが、11年にゾゾタウン、12年にアマゾン、17年にロハコに出店。現在は11店舗体制になった。
 15年にはECサイトだけでなく、実店舗やメーカーの一部在庫も「クロスモール」で管理できるように運用体制を変更した。
 「夜間、閉店後に実店舗の在庫を『クロスモール』に反映させてECサイトで販売できるようにした。夜中、ECサイトで売れた在庫は開店前に実店舗から持ってくる流れだ。メーカーの在庫も反映できる仕組みができたが、今後は基幹システムをメーカーと連携し、半自動で在庫を反映できるようにしたい」(同)と話す。
 「クロスモール」導入前は1日中、作業に追われていたが、現在は顧客サポートやサイトの企画に労力を割けるようになったという。
 「もっとECは伸ばせると考えている。月商5億円を目指している」(同)と話す。


■I―ne/拡張性求めシステム切替

 ライフスタイルブランド「BOTANIST(ボタニスト)」などを展開するI―ne(イーネ、本社大阪府、大西洋平社長)は、シャンプーやコスメ、健康食品、生活用品など17以上のブランドを展開し、成長している。ECによる直販事業も急拡大している。
 ECサイトは10店舗以上を展開しており、販売チャネルも自社サイトや楽天、ヤフー、アマゾンなど幅広い。受注管理業務を効率化しようと一元管理システムを導入した。
 ただ、以前のシステムはサーバーインストール型だったため、受注件数の増大とともに容量不足に陥った。拡張性を求め、15年にクラウド型の一元管理システム「アシスト店長」を導入した。
 「容量の問題だけではなく、煩雑な業務を解消する機能にも満足している。昨年、2社を合併したこともあり、納品書の処理などが複雑だったが、『アシスト店長』はデフォルトの機能で大半をカバーし、カスタマイズにも対応してくれた」(田中綾子氏)と話す。
 基幹システムと連携したり、連携していなかったカートの注文データを取り込めるようにしたり、「商品単価」や「送料」を一括更新できるようにしたりと「アシスト店長」に対応してもらったことで業務を効率化できた。顧客情報の分析機能も充実しており、顧客のステータスに応じた選別なども簡単にできるという。
 同社は越境ECの売り上げも伸びている。海外発送の商品などは国内とは異なる業務フローとなるため、「アシスト店長」で顧客を自動仕分けしたり、国際スピード郵便(EMS)などでの海外発送に対応できるようにしたいという。


■ハンコヤストア/システム切替、残業激減

 ハンコヤストア(本社岡山県、池田寛規社長)は07年、楽天に出店し、印鑑のネット販売を開始した。その後、ヤフーやWowma!(ワウマ)、ポンパレモール、Qoo10に次々出店し、自社サイトも開設。17年5月期には年商7億円に達するまで成長している。
 同社のECサイト「ハンコヤストア」は顧客が芯の材質やサイズ、彫刻する氏名の書体などを選べるオーダーメードが売り。拡大する販売チャネルや煩雑な注文処理を効率化するため、一元管理システムを導入した。
 ただ、最初に導入したシステムは使い勝手が悪かった。商品によって製造工程が異なるため、注文票を出し分ける必要があったが、その対応も不十分だった。
 使いやすいとの評判を聞き、15年に「GoQsystem(ごくーシステム)」を導入した。楽天の店舗管理システム(RMS)と似たデザイン・操作性だったため、スムーズに導入できた。スタッフからは「使いやすい」と好評だった。
 「セールのときは1日2000件以上の注文が殺到する。以前は目検で注文を確認し、3人いるスタッフが残業続きになることもあった。『ごくーシステム』は設定した条件に応じて、自動で注文を振り分けるため、作業を自動化できるようになった。検索機能も充実しているため、イレギュラーな注文への対処も楽になった」(池田社長)と話す。


■カルフォルニアストリート/料金・サポートに満足
 88年創業のカルフォルニアストリート(本社東京都、藤原英彦社長)は国内で初めてスケートボードのカタログ通販を始めた。04年に楽天に出店し、ネット通販を開始。今ではヤフーやアマゾンにも出店している。
 多店舗展開したことにより、商品登録業務を削減するために、14年2月に一元管理システム「まとまるEC店長」を導入した。
 「アマゾンのAPIに対応しており、価格が安かったことが決め手になった。導入後は担当の方が丁寧に操作方法だけでなく、運営業務の方法まで教えてくれた点が良かった」(ストアディレクター・小原祐一氏)と話す。
 小原氏は「まとまるEC店長」の担当者に電話し、「商品連携はどうやればいいか」「モールごとに画像名をどう変えればいいのか」など一つ一つ確認したという。モールの仕様変更についても不明点を相談した。
 同社は商品登録や在庫情報、受注情報を一括管理し、業務の手間を削減した。複数店の運営で増える業務を効率化したことで、通販開始時から徹底している商品の即日配送を継続している。
 丁寧な梱包などにも注力することで楽天店の総合評価は4.8点を超えている。

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