【2022年 無店舗販売業界 市場予測〈通販・EC〉】 〈商品調達難〉値上げや仕入先変更も(2022年1月1日新年特大号)

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 長引く新型コロナウイルスの影響は商品の仕入れにも影響を及ぼしている。半導体、コーヒー豆、ノンアルコール(ノンアル)飲料など、海外からの仕入れ商品が不足傾向にある。各企業とも22年は、値上げや新たな商品仕入れ先の開拓が必須だと捉えている。
 21年で最も調達に苦労したのが半導体だ。巣ごもり需要の拡大と、コロナ禍で海外の生産工場が軒並み休業したことが影響した。21年夏ごろから、通販市場においてスマホやパソコン、ゲーム機などが一時欠品した。
 ECサイトで家電の販売を手掛ける家電メーカーのアイリスオーヤマでは、22年夏ごろまでは半導体の不足が継続すると予測している。
 「自社で半導体の企画・設計・調達・仕入れ先を開拓しているため、20年の冬には半導体が不足することを予測できた。その時点で多くの半導体を確保できたため、現状では著しい生産数の減少には陥っていない。だが、数にも終わりはある。新たな解決策は必須」(アイリスオーヤマ・岡村響介氏)と話す。
 21年12月時点では、代替品の半導体の使用や、新たな仕入れ先企業を開拓して、半導体を確保している。アイリスオーヤマでは22年も値上げではなく、代替品や新たな仕入れ先企業からの調達方法で商品を販売していく模様だ。
 食品ではノンアル飲料やコーヒー豆の調達難が目立つ。ノンアル飲料の通販を手掛けるアルト・アルコは、米国にコンテナが集まり日本への配送状況に遅れがあることを受け、22年は余分に在庫がある状況でも商品を発注する考えだ。
 21年12月時点では、従来よりも配送に2週間以上の遅延が生じている。解決策として過剰在庫になったとしても販売機会の損失を防ぐために、通常よりも前倒しで商品を発注していくという。
 コーヒー市場では、コロナ禍での急速な需要の回復と生産地での天候不順が重なり、21年秋以降、20%ほどの値上げに踏み切る企業が続出している。
 スペシャルティーコーヒーを販売する丸山珈琲は21年9~10月にかけて、ECサイトと実店舗で20~30%の値上げを行った。楽天市場などでコーヒーの売り上げを伸ばしている澤井珈琲も値上げを行ったが、原価の高騰分を全て値上げで吸収できると考えておらず、利益の捻出が課題とみている。
 新型コロナウイルスが収束しないと、将来を見通せない状況は変わらない。22年は多くの業界が値上げや新たな商品の仕入れ先の開拓、配送方法の変更などに追われそうだ。それに伴い、いかに利益を捻出するかが課題になりそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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