【2022年 無店舗販売業界 市場予測〈通販・EC〉】 〈定期購入〉特商法の処分相次ぐか (2022年1月1日新年特大号)

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 21年には、特定商取引法が改正され、定期購入を規制する条文が盛り込まれた。特商法や医薬品医療機器等法(薬機法)に詳しい弁護士の中には、「定期購入を規制する条文が法律に盛り込まれたことから、22年以降はこれまで以上に、特商法違反で行政処分を受ける健康食品・化粧品事業者が増えるのではないか」と予想する人もいる。薬機法や景表法による広告規制も強化されている。定期通販事業者には、これまで以上に、法律を順守する、誠実なビジネスマインドを求められそうだ。
 悪質な定期購入商法に対する規制を盛り込んだ改正特定商取引法が6月、成立した。改正特商法には、通販の定期購入について、「定期購入でないと誤認させる表示に対する直罰化」や「申し込みの取り消しを認める制度の創設」などが盛り込まれた。
 11月には消費者庁が、改正特商法に関連して、ガイドラインのパブリックコメントの募集を開始。同ガイドラインには、通販の最終申し込み画面における不当表示の事例が盛り込まれている。特商法や薬機法に詳しく、健康食品や化粧品の定期通販の広告の監修などを行う、東京神谷町綜合法律事務所の成眞海(せい・しんかい)弁護士は、「これまでは『総額表示』などをガイドラインで規制していたが、今回さらに踏み込んで、『定期購入でないと誤認させる表示』として条文で規定した。その結果、行政側の法執行のハードルが下がる可能性がある」と言う。「これまでの処分事例と同様、最終申し込み確認画面の表示に不備があった場合、業務停止命令を受けるケースが増えるのではないか」(同)ともしている。
 21年8月には、課徴金制度の導入を盛り込んだ改正薬機法が施行された。施行前後で、ネット広告のプラットフォームが、広告審査の基準を厳格化するといった影響も出ている。
 厚生労働省では、「課徴金の納付命令に関する調査を行っているかについては明らかにできない」(監視指導・麻薬対策課)としている。成弁護士は、「施行したばかりの法律について、処分の実績を作りたいことは明白だ。省庁間の連携など、現段階での執行に慎重になっている理由があるのかもしれない」と話している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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