【2022年 無店舗販売業界 市場予測〈通販・EC〉】 〈物流〉荷主に応える物流さらに拡大 (2022年1月1日新年特大号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 22年度の物流業界は、価格と品質で差別化を図る動きが加速し、荷主の要望に合わせたサービスがより広がっていくと予想される。
 コロナ禍でさらに拡大した通販市場は、荷主(販売店)同士の競争を激しくした。他社との差別化を図るため、物流面で配送スピードの向上が進んだ。企業間競争の激化とともに物流コストをより重視する荷主も増加。こうした要望に応える体制が今の通販物流業界にはいっそう求められている。
 国内の主要ECモールと大手宅配会社が提携したことは関係者の注目を集めた。提携によって、物流網を構築したECモールはインフラが整い、優位性がさらに向上したとされている。モール以外で販売を行う荷主は配送スピードや価格以外でも、強みを持つことが求められる。
 大手企業の優位性が進んでいる中でも、かゆいところに手が届く中小の物流サービスや対応力が注目されている。荷主の要望に合わせた対応やシステム構築だけでなく、販促に寄与するコンサルティング提案、人件費を含めた物流コストの削減に取り組む企業が増えている。
 付加価値のある梱包材や同梱物の提供、荷主のブランド力の向上やリピートにつながるD2C向けの物流サービスも台頭している。荷主と物流会社が連携して付加価値を生み出していけば、中小の物流が新たな広がりをみせる可能性はある。
 システムも独自性のある取り組みが目立ってきた。ECサイト構築サービスやカート会社などの連携先を増やすだけでなく、店舗とECの在庫連携や、販売チャネルごとの設計など、消費動向に合わせた独自のサービスが増加。物流業務の負担軽減を目的としたシステムの自動化、ダッシュボードの簡素化、住所の入力ミスを改善するサービスなど、業務を改善していくサービスにも注目が集まっている。
 現在も着々と整備が進んでいる自転車やバイクによる配送サービスや、ドローンを活用した配送など、22年度も物流業界は活発な動きを見せそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ