【2022年 無店舗販売業界 市場予測〈通販・EC〉】 〈OMO〉リード獲得・販促の動きが拡大 (2022年1月1日新年特大号)

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アダストリアは21年11月、「STAFF START」を利用して、自社EC上に動画投稿機能も導入

アダストリアは21年11月、「STAFF START」を利用して、自社EC上に動画投稿機能も導入

 EC・通販業界では22年も、OMO(ネットとリアルの融合)施策が加速していくだろう。オフラインとオンラインで在庫データや会員データを統合する企業は増加しており、EC購入品を実店舗で受け取れるようにする企業も増えている。サービス面でのOMOの整備が進んでいる。OMO施策によりリード獲得・売り上げ増加を狙う動きは、22年もさらに拡大していきそうだ。
 店舗受け取りがEC注文の大半を占めているワークマンは、EC顧客を積極的に実店舗へと誘導している。22年には、アンバサダーと共同開発したキャンプ用品をEC限定で販売し、受け取りはリアル限定にする、OMO施策も展開するそうだ。EC限定であれば、リアル店舗の売り場のスペースを気にせず、商品展開ができるという。
 ワークマンの調査では、商品受け取りのために来店した顧客は、リピート率や顧客単価が大幅にアップするそうだ。実店舗への配送便に、店舗受け取り商品を相乗りさせることにより、配送コストを削減することもできる。EC専用の在庫をなくした結果、外部倉庫も不要になったという。
 LTV向上や経費削減など、OMOにより得られるメリットは大きい。サービスの組み立て方次第で、効果を高めることもできる。
 オンワードHDも21年4月からOMO店舗の出店を拡大したところ、多くの利用があったという。利用の理由は、「実物を確認して購入したいから」「試着して購入した」「すぐに商品を受け取りたい」というものだった。
 22年もこうした顧客のニーズに応えるため、各社でOMOサービスが拡充されていくだろう。
 店舗販売中心だった企業の多くは、コロナ禍の20~21年、手探りでOMO施策を進めた。ある程度知見や実績が蓄積できた22年は、OMO施策を大幅に強化するという企業が多い。システムなどに、大型の先行投資を予定している企業も少なからずあるようだ。
 現在のOMOのトレンドは、リアル店舗のスタッフの活用だ。アパレル業界では、「STAFFSTART(スタッフスタート)」「visumo(ビジュモ)」などのツールを導入し、サイトやSNSにスタッフのコーディネート画像を投稿。ECでの購入促進を行っている。アダストリアでは、「STAFFSTART」を利用して、画像だけでなく動画の投稿も行っている。
 スタッフによるライブ配信も活況だ。
 ライブ配信がきっかけとなり、スタッフ目当てに消費者が実店舗に来店するケースも増えているようだ。
 アパレル業界以外でも、店舗やイベントなどのリアルの接点でリーチした消費者に、LINE公式登録や自社アプリダウンロードを促す動きが活発化している。オンラインでつながることで、ダイレクトな訴求が可能になる。ECへの送客につなげる狙いもあるそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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