【2022年 無店舗販売業界 市場予測〈訪販・NB〉】 〈SDGs〉サステナブル経営が加速 (2022年1月1日新年特大号)

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 環境に配慮した企業経営は、訪販・NB・食品宅配企業にとっても外せないキーワードになりそうだ。本紙が訪販・NB各社に実施した意識調査では、回答社の7割が「すでに行っている」「行うことを検討している」が占めており、関心の高さをうかがわせた。取扱商品の製造工程や容器・包装資材、配送時の二酸化炭素の排出を抑制する取り組みが、消費者が商品・サービスを購入する際の一つの指標になることが予想される。循環型経済「サーキュラーエコノミー」が日本でも動き始めたことで、環境に配慮した経営が一段と求められそうだ。
 SDGsで先行するのが食品宅配企業。オイシックス・ラ・大地傘下の食品宅配「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」では、「サステナブルリテール」をグループの方針に掲げ、これまで廃棄されていた規格外の食材を製品化して販売している。ヨシケイ開発では、ミールキットの販売を行うことで食品廃棄ロスの削減につなげるほか、自社配送時に再配達を行わずに置き配を実施することでCO2削減に力を注ぐ。
 ヤクルト本社では、21年3月に「ヤクルトグループ環境ビジョン」を策定し、2050年までに環境負荷ゼロ経営を目指す取り組みを開始した。18年からは人権や環境に配慮した「責任ある調達」を行うため、サプライチェーンと一体になったCSR調達活動を推進している。
 太陽光発電システムや蓄電池などを販売する訪販企業にも追い風だろう。2050年の「カーボンニュートラル」を実現するため、「再生可能エネルギー」の導入を最大限進める政府の方針もあり、太陽光発電や蓄電池が改めて注目される。
 ネットワークビジネス(NB)のモデーアジャパンは、「BPAフリー」や生分解されやすい原料、グレイウォータセーフ処方などを採用。TIENS JAPANは08年から兵庫県内で植林活動を実施しているほか、化粧品容器にグリーンボトルやサトウキビの搾りかすを再生したバガス紙やFSC認証紙を採用、印刷にはベジタブルインキを採用している。NBでは、外資系企業がグローバルで取り組んでいることもあって先行しており、国内企業の動向にも注目が集まる。
 人材採用においても、SDGsへの取り組みが企業の評価に加わりそうだ。訪販企業の人事担当者に聞くと、大学生をはじめとする就活生は、環境問題や企業の社会的な意義に対して関心が高いという。経営方針の中に、SDGsを積極的に取り入れることで、訪販・NB企業の社会的な存在価値を高めようとする動きも加速しそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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