【住設訪販】 〈インタビュー〉新日本エネックス 西口昌宏代表取締役/原点は良い会社作りの追求(2021年8月5日・12日夏季特大号)

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西口昌宏代表取締役

西口昌宏代表取締役

 太陽光発電や蓄電池を訪問販売する新日本エネックス(本社福岡県、西口昌宏社長)は、コロナ禍でも業績や組織が成長し続ける経営を行っている。21年1月期の売上高は前期の約2倍となる20億円で、期初の2月以降も月商2億円で推移。今期も増収を見込んでいる。「社員を大事にする良い会社を作りたい」という思いを形にするため、会社を創業。社長自らの経験値と理想を追求してきた結果が、コロナ禍でも成長する組織を作り上げている。良い会社作りの追求と、昨今の情勢、施策について話を聞いた。

 ─直近の業績について。
 21年2月の期初から、月商2億円ペースで推移している。特段、新しい施策を行っているわけではないが、社員全員が、自信を持って顧客を訪問し、自分たちの思いを伝えられていることが、結果に表れているのではないかと思う。
 ─コロナ禍で、住設関連の消費者相談の件数が増えている。
 コロナ禍で在宅率が上がり、各社の積極的な営業が相談件数を増やす要因になっている可能性がある。しかし、当社は消費者からの相談件数が非常に少ない。これは一つの大きな武器。そもそも、相談件数が増えてしまうような営業活動や組織にならないようにしている。
 訪問販売を営業手法にしている以上、コンプライアンス対策は欠かせない。各社が行っている対策を当社も、同じように取り組んでいる。最近、意識的に実施しているのは、商談時の録音確認。取締役を中心にしっかりと確認し、成約率が高い営業マンの録音を、特に注意深く確認している。過度な営業トークが成約率を向上させているのではないかという視点で考えているからだ。
 当社は有難いことに、年々業績が伸び、社員数や支店の数も着実に増えている。伸ばせる時に一気に伸ばす経営ではなく、こうした時ほど、注意深くする社内体制を意識している。これは、私が過去に経験してきたことも一つの契機になっているが、私が作り上げたい理想の会社作りとは異なることも理由の一つだ。
 ─コロナ禍でも成長する会社作りとは。
 新型コロナウイルスの感染拡大によって、組織が変わったか、という点では、目先の判断や施策は、変えざるを得ないところもあり、ある程度は変えた。しかし、本質な部分は変えていない。当社が目指す方向性もブレない。
 逆に言えば、コロナの影響が、当社を強くしている。こうした情勢の中、日々営業に取り組む社員が、そう思っているのではないだろうか。強くなった部分は「売ってくるぞ」という姿勢ではない。どうしたら顧客に喜んでもらえるのか、という考えや取り組みを強めたことが成果につながったと思われる。
 太陽光発電や蓄電池を設置した顧客から「他の会社とは違う」と、褒め言葉をもらうことがある。「違い」という点が当社の武器であり、社員と顧客双方の満足度を高めている結果だと感じている。
 ─経営者として取り組んでいることは何か。
 私の理想は、社員を大事にする会社作りが根幹を支えるビジネスマインドだ。しかし、支えるというのは社員を鼓舞し、叱咤激励することだけではない。働きやすい環境や道筋を作ることが重要だ。
 環境作りや道筋には、一人の経営者として日々取り組んでいる。訪販業界だけでなく、さまざまな業界の方と積極的に交流して情報交換するようにしている。異業種が集まるイベントがあれば顔を出し、さまざまな経営者の話を聞いて、勉強している。こうした積み重ねは、一人の経営者として自身を成長させる要因にもなっている。
 私は、「ロジック経営」を意識している。一つ一つを検証して、ダメなら次、成果が出れば継続するなど、仮説と検証、そして実行を繰り返している。
 私の場合、ある施策を100回実施して成功が99回、失敗が1回という結果になったら、この1回に注目している。100回やったら1回失敗する仕組みだと判断して、改めて全部が成功するようなロジックを再考している。非常に細かいことだが、この積み重ねが、営業やコンプライアンス、採用、組織作りなど全てに生かされている。
 他にもロジック経営を生かすため、私自身が前に出て、会社のブランディングを強化する施策も行っている。テレビCMの放送やショールームの開設なども同様だ。
 現在、当社は少しずつ成果が出せている会社になってきた。しかし、創業して間もない会社。先陣を切る住設訪販や異業種の方が数多くいる。まだまだ、勉強中の身だが、現段階で、私自身が分かっているのは、社員を大事にする会社作りは間違っていなかったということ。社員を大事にすることをこれからもさらに追求し、当社の主力事業である再生可能エネルギーの普及に貢献していく。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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