【高付加価値化粧品開発】 〈インタビュー〉シーエスラボ 林雅俊社長/SDGsに対応した新工場を竣工

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 化粧品の受託製造事業を展開するシーエスラボ(本社東京都、林雅俊社長、(電)03―5928―5941)の20年7月期の売上高は、前期比5%増で着地した。同社では、「処方の開発力」「売れる商品の提案力」「小回りの利く対応力」が高く評価されており、増収の要因となったという。8月には群馬・館林工場の隣接地に新工場を竣工。同工場ではSDGsやエシカル消費に対応した化粧品製造が可能だという。林社長に話を聞いた。

 ─直近の業績について教えてください。
 林 20年7月期業績は前期比5%の増収で着地しました。おかげさまで業績は順調に推移しています。
 ─コロナ禍で苦戦するOEM企業が多い中、多くの顧客企業から支持される要因は何ですか。
 林 例えば営業面では、当社が進めている「処方のマッピング化」が、支持される要因の一つになっています。データベース化した処方を基に、それをマップとして示すというものです。例えば、「しっとり―さっぱり」といった質感を横軸(X軸)にし、「有効成分多め―少な目」といった有効成分量を縦軸(Y軸)にし、二次平面を作ります。その二次平面に、既存のブランドの商品などを配置していくと、今現在、市場に出回っている商品がカバーしているマーケティングポジションが可視化できます。そうしたマッピングを見ながら、すき間を狙っていくのか、あえて既存商品にぶつけて同じ市場を獲りに行くのかなど、戦略をお客さまとともに立て、その上で、製品を提案するようにしているのです。闇雲に試作をお出しするよりも、お客さまのご要望に近い試作を迅速に提案できるため、お客さまにも喜ばれています。「客観的データを基に、売れ筋の商品を提案してもらえる」とのご評価もいただいています。当社では年間約200件の処方を開発・上市していますが、マッピングは既存処方の整理にも貢献してくれています。
 ─支持される要因は他にもありますか。
 林 当社が行っている、海外展開を見据えた処方開発も、顧客企業から評価される要因になっています。国内でヒットした化粧品を、いざ海外へ展開しようとなったときに、規制の壁に阻まれ、展開ができないということは往々にしてあります。当社では、将来的に海外展開を視野に入れている商品ということをお聞きしていれば、当初の開発の段階から、展開予定国の規制を織り込んだ処方の提案を行います。各国の薬事規制の最新情報の収集は随時行っていますので、開発時点での最新情報を踏まえた開発が可能なのです。
 納期・コスト・品質面での小回りの利く対応も、当社を評価いただく要因になっています。お客さまの資材の調達遅れなどでスケジュールに遅れが生じた場合も、できる限りフレキシブルに対応するなど、お客さまに喜んでいただける対応を心掛けています。
 ─8月に新工場を竣工したということですが。
 林 群馬・館林工場の隣接地に、新工場を竣工しました。既存の館林工場と通路でつないでいます。9月から稼働を開始しました。製造する品目自体は、既存の工場と変わりませんが、生産能力を大幅に向上させました。当社全体の最大生産能力は、従来比で4倍に高まりました。小ロットから大量生産まで、幅広い受注に対応できる生産体制も整いました。
 ─新工場の特徴を教えてください。
 林 最大の特徴は、SDGsへの対応を強く意識した、新しいコンセプトの工場だという点です。
 例えば、新工場では、ダイバーシティー経営の一環として、女性の働きやすさを追求しています。新卒から70歳まで、結婚・出産・育児もあり、女性の状況は刻刻と変わっていきます。そんな中でも、気持ちよくずっと働き続けてもらえる環境を整えようと思っています。正規から非正規、非正規から正規といった異動も、本人の希望に基づき柔軟に行えるようにするつもりです。当社としては、女性管理職比率25%も目標に掲げています。
 一方で高齢者が活躍しやすい環境を整えるため、新工場には、超スローラインの導入も予定しています。経験豊富なので、確実な仕事はできるけれど、ラインのスピードについていけないという高齢者も多いのです。生産スピードをあえて落としたラインを作ることにより、多様な人材が活躍できる状況を作りたいと思っています。障害者雇用も積極的に行っていきますし、外国人雇用も視野に入れています。
 さらに新工場では、太陽光発電や地熱発電などによるクリーンエネルギーの活用にも積極的に取り組みます。地域貢献の一環として、児童の社会科見学の受け入れなども積極的に行っていきます。地元産品の積極利用も行っていきます。
 ─最近は、SGDs経営を掲げる販売会社も増えてきました。
 林 まさに、そうした、社会貢献への志を持つ企業と、コラボレーションを行っていければと考えています。コロナ禍で、移動がままならない時期ではありますが、新工場にお越しいただければ、当社のSGDsの取り組みを、より深く理解していただけると確信しています。SDGsに則った当社のものの考え方なども折に触れて発信していきたいと思っています。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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