【リピートEC 成功の秘訣「真の顧客満足向上とは」】第10回 IoTによる新しい定期購入戦略

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■3回目の残存率が鍵
 単品リピート通販市場では、言わずもがな、どう顧客に定期購入を継続してもらうかが最重要課題です。
 最近では、新規顧客の獲得について、CPO(注文1件当たりのコスト)がかなり高騰しています。私が聞いた中では、1人の新規顧客獲得に2万2000円もの費用が必要となるケースもあるそうです。その理由は、主にアフィリエイト広告の環境の変化です。
 集客のできるアフィリエイターの取り合いになっており、アフィリエイトの成果報酬が高騰しています。一方で、以前は集客力があったアフィリエイトサイトからの流入が減少するいわゆる「広告疲れ」も発生しています。
 CPOが高騰する中、LTVの確保がますます重要になってきているのです。
 ここで、定期購入の継続率を考えてみましょう。一般的に、2回目への継続率は70〜80%と高いにもかかわらず、3回目になると50%以下まで落ち込む企業が多いようです。ちなみに、2回目への継続率が比較的高い理由の多くは、顧客が「定期購入だと思わずに初回購入をしてしまうから」です。もちろん、企業側は定期購入であることをきちんと明記しているところがほとんどなので、顧客の勘違いや読み落としが原因であることが多いです。
 つまり、リピートECが本当に成功するかどうかの指標の一つは、「3回目以降も継続するか」なのです。

■続けたいと思う仕組み作り
 当社が最近始めたサービスの中で、「導入した企業の定期購入の継続率が4カ月間50%を下回らない」という仕組みがあります。それはOtoO、IoT、アプリという三つの要素を掛け合わせたサービスです。
 具体的には、ダイエットサプリメントの定期購入を申し込んだお客さまに、体脂肪率や基礎代謝量、筋肉量などを計測できる、高機能の体重計を無料でレンタルするというものです。アプリと連動させているため、体重計にのっただけで、すべての記録が自動でアプリに入力されます。ダイエットをめざす人は、体重管理だけでなく、体調管理も手軽に行えるようになります。そのため、サプリメントを解約することによって、この体重計が使えなくなることを不便に感じるようになる人も多いと見込んでいます。
 また、定期購入の1回目からレンタルを提供すれば、「こんな体重計が使えるなら定期購入してみようかな」と思ってもらえるでしょう。しかも、体重計のレンタルが「定期購入の特典」であることを分かりやすく表記しておけば、「定期購入だと思わなかった」という勘違いもなくなり、それに伴う解約も格段に減るでしょう。
 ほかにも、化粧品であれば肌の水分をチェックするアプリとの組み合わせ、口臭サプリであれば口臭をチェックするアプリとの組み合わせ、睡眠サプリであれば睡眠計との組み合わせ、といった具合に、さまざまなIoT機器とアプリとの連動を考えることができます。
 ただし、顧客満足度を度外視して、ただ単に利益につなげるための仕組みでは意味がありません。顧客が楽しく続けられる仕組みにすることで、定期購入の継続率は間違いなくアップしていくのです。(つづく)


〈筆者プロフィール〉
 ライフエックス代表取締役社長 工藤一朗

 1980年生まれ、大学卒業後、総合通販のベルーナに入社。入社後すぐに売り上げナンバーワンを記録。その後、東証一部上場企業の営業部長などを経て退社。
 09年にライフェックスを設立し、一貫して通販・ダイレクトマーケティングに従事する。日本通販CRM協会役員兼務。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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