【リピートEC 成功の秘訣「真の顧客満足向上とは」】第3回 リピート通販は「恋愛」と同じ

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 前回、LTVを上げる手法として(1)継続率アップ(2)併売率アップ(3)アップセル率アップ(4)仮眠・休眠顧客の活性化─を挙げました。そして、「誰に」「どのタイミングで」「何を」するかを決めるためには、アクティブ顧客のデータ分析が必要であることをご紹介しました。
 次に大切なのは、仮眠・休眠顧客に目を向けることです。
 今回は、「仮眠・休眠顧客の活性化」についてご説明します。


■最も多い休眠顧客

 多くの企業はLTVを上げる戦略を考えるとき、アクティブ顧客にばかり目を向けています。継続率や併売率、アップセル率を上げる施策については、アクティブ向けの戦術としての意味合いが強いため、アクティブ顧客に目を向けることは間違いではありません。
 ただ、仮眠・休眠顧客の活性化についても一方で考えなければなりません。アクティブ顧客、仮眠顧客、休眠顧客のどの層に最も多く顧客数がたまっているかというと、詳細な数は分からなくても、休眠顧客が最も多いことは誰でも想像がつくはずです。
 お試し価格で一度商品を購入しただけのお客さまは、どんどん休眠顧客にたまっていきます。しかし、爆睡してしまった休眠顧客を起こすのは大変難しいのが現実です。


■解約理由は企業の本質

 そこで大切にしないといけないのが、休眠顧客になる前の仮眠顧客ということになります。仮眠顧客の掘り起こしも簡単ではありませんが、「どのタイミングで」アプローチするかによって結果が大きく変わってきます。
 当然、最終購入日から日にちが経過し過ぎないタイミングがベストということがいえます。そのタイミングで、アプローチできるプログラムを設計しておく必要があります。
 多くの場合、メールマガジンやDMなどを思い付くでしょう。しかし、「買って! 買って!」といわんばかりのDMを送ってもお客さまは動きません。
 企業は「なぜ解約されてしまったのか」という原点をきちんと把握することが重要なのです。リピート通販を解約したお客さまは、ある意味では企業の本質を知ってくれている人たちです。そこには、企業の未来にとって有益な情報が詰まっているともいえるでしょう。
 そのため、解約の理由を早めに聞き取り、それらをもとに新たな商品開発やサービス改善などを考え、お客さまに再提案していくことが大切です。お客さまとの距離が離れてしまわないよう、歩み寄っていけるフォロープログラム作りが鉄則なのです。


■顧客との関係値築く

 リピート通販は「恋愛」とも似ています。恋愛では、出会ったときの第一印象はとても重要で、その後、そのときどきに合った方法で関係性を深めて、結婚して何年経っても「今が一番好き」と言ってもらえる関係が理想でしょう。
 リピート通販も、初めて定期購入に申し込みをしてくれたお客さま、アクティブのお客さま、ロイヤルカスタマーとそれぞれの時期に合った情報共有をして、お客さまとの関係性を築いていかなければなりません。
 そのうえで、(1)仮眠・休眠顧客にしないためのプログラムの見直しをする(2)発生してしまった仮眠顧客に対しては、解約理由にひもづいたアプローチを適切なタイミングで実行する─これが、LTVを上げる基本的な取り組みとなります。(つづく)


〈筆者プロフィール〉
 ライフエックス代表取締役社長 工藤一朗

 1980年生まれ、大学卒業後、総合通販のベルーナに入社。入社後すぐに売り上げナンバーワンを記録。その後、東証一部上場企業の営業部長などを経て退社。
 09年にライフェックスを設立し、一貫して通販・ダイレクトマーケティングに従事する。日本通販CRM協会役員兼務。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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