【Eコマース業界地図 「転換率向上サービス編」】〈「ゼンクラーク」導入事例/セブンネットショッピング〉AI配信で売上拡大/クーポン全配信より高転換率

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(写真右より)セブンネットショッピングの村上氏、平林氏、エモーション・インテリジェンスの磯部氏、小島氏

(写真右より)セブンネットショッピングの村上氏、平林氏、エモーション・インテリジェンスの磯部氏、小島氏

 セブンネットショッピング(本社東京都)は、ECサイト「セブンネットショッピング」において、人工知能(AI)型ウェブ接客ツール「ZenClerk(ゼンクラーク)」を導入している。効果検証テストではサイト来訪者全員にクーポンを配信するより、購入を迷っているユーザーのみに配信した方が転換率は高いことが分かった。クーポンの無駄打ちを削減し、売り上げ・利益の拡大を実現している。
 セブンネットショッピングは16年9月、エモーション・インテリジェンス(本社東京都、太田麻未社長)が提供する「ゼンクラーク」を導入した。配信のシナリオ設定などを自社で行う必要があった他社のツールから、AIによりシナリオ作成、運用を自動化できる「ゼンクラーク」に乗り換えた。「ゼンクラーク」はAIで運用を行うため、手間をかけずに転換率を改善できる点が良かったという。


■クーポン費1/3削減

 セブンネットショッピングとエモーション・インテリジェンスは、「ゼンクラーク」の効果検証テストを実施。同期間で、購入があった翌月にポイント特典を付与するクーポンを、「サイト来訪者全員に配信(全配信)」「ゼンクラークが迷いを検知したユーザー限定で配信(AI配信)」「配信しない」に分けて効果を検証した。
 テストの結果、「全配信」よりも「AI配信」の方が転換率は高まった。同じ配信数に対する購入者数は、「配信しない」と比べて「全配信」が約8%増、「AI配信」が約10%増だった。「AI配信」では、「全配信」よりクーポンコストを3分の1削減できた。
 セブンネットショッピングの販売本部販売部・平林綾子販促・企画チームリーダーは、「全配信の方が効果は出ると思っていた」と話す。
 同・村上陽祐アシスタントゼネラルマネージャーは、「無駄に販促費はかけたくないので、配信しなくてもいい人に配信してコストをかけるよりも配信数を絞って精度を高めたい」と期待を込める。


■売上拡大も立証

 エモーション・インテリジェンスのセールスグループアカウントマネージャー・小島塁氏は、「『ゼンクラーク』を導入するとクーポンの無駄打ちを防げるというイメージはあったと思うが、今回のテストで費用対効果がよく売り上げを伸ばせることも立証できた。クーポンのコストを抑え、ブランディングも大切にして、売り上げ拡大も実現できる」と話す。
 同社のサービス開発グループプロジェクトマネージャー・磯部有司氏は、「『ゼンクラーク』では、来訪者の動きを分析し、クーポンを配信するターゲットとモーメント(タイミング)を決めている。購入を迷っているユーザーに最適なタイミングでクーポンを配信するため、ただ来訪したユーザーに全配信するよりも売り上げが上がる」とみている。
 セブンネットショッピングは今後、購入後のポイント特典だけではなく、購入時に使える割引特典を付与し、「ゼンクラーク」の導入効果を最大化したい考えだ。

ECサイト上にタイミングよくクーポンを表示し、販売を促進

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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