【千原弁護士の法律Q&A】▼437▲ 生成AIで制作した画像や動画の扱いについて(2025年9月11日号)

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【質問】



 サプリメントの販売会社の法務部です。当社では、インスタ広告のバナーやSNS投稿などの短い広告に掲載する動画や画像については、最近は生成AIを利用して制作しています。ネットで調べると、生成AIで制作したものについては「著作権フリー」とされています。そこで以下の三つの質問をさせていただきたいと思います。(1)そうすると、生成AIを利用した場合、第三者の著作権については考慮する必要がなく、自由に利用できるのでしょうか(2)生成AIを利用して制作した広告が、結果として、同業者の広告等と似ている場合はどうなるのでしょうか(3)その他、注意ポイント、対策を教えてください。
           (サプリメント販売会社社長)

【回答】著作権侵害にあたる場合も



 貴社に限らず、生成AIについて、誤解がある部分です。生成AIによって自動的に作られた画像や動画には「人間による創作的な寄与」がないので著作物とは認められず、著作権は発生しません。したがって、その制作者(貴社での生成AIの利用者)が「著作権を主張できない」ことは間違いありません。貴社が生成AIを利用して、制作した画像等については、たとえば貴社以外の第三者が勝手に利用したとしても、貴社は差止や損害賠償請求などの著作権者としての権利主張はできません。この点から「著作権フリー」のような言い方がなされると思います。
 一方、貴社のように、生成AIを利用して制作した、画像や動画をビジネスに利用する場合、「第三者の著作権を侵害するか」は全く別の問題です。

(続きは、「日本流通産業新聞 9月11日号で)

<プロフィール>
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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