【千原弁護士の法律Q&A】▼429▲ 会員の違法行為に対する賠償請求。当社の責任は?(2025年5月1日・8日合併号)

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<質問> 



 サプリメントの連鎖販売取引を行っている会社を運営しています。会員のAですが、当社の商品であるサプリメントについて、「たくさん飲むと病気が治る」などと言って、勧誘相手のBさんに、過剰に飲ませていたことが分かりました。医者からの薬も飲まないように指導するなどの結果、Bさんは病気が悪化し、Bさん(や家族)から当社に対して、責任を取るようにと賠償請求がなされています。もちろん当社は上記のような勧誘は禁止しています。また、そもそも従業員でもない会員Aの行動について、当社は責任を負担しないと思いますが、いかがでしょうか。会員であるAの行為について、当社が特商法の処分を受けたりする可能性はあるのでしょうか。(サプリ連鎖販売取引会社社長)

<回答> 賠償責任負担の可能性あり



 貴社のご質問は、会員Aの違法行為について、貴社が(1)民事上の賠償責任(2)特商法における行政上の責任─を負うことになるかというお尋ねですので、それぞれご説明します。
 まず(1)ですが、結論として、会社が会員の行為で賠償責任を負う可能性はあります。
 民法には「使用者責任」という規定があります。これは従業員が業務上第三者に損害を与えた場合に適用されるのが基本です。さらに、たとえば従業員が「私用」で社用車を乗り回して事故を起こしたような場合にも、「社用車」という事業の「外形」から会社の業務とされて、会社において、従業員の選任や監督においても問題があると、(私用でのドライブであっても)責任を負担する場合があります。
 この対象としては、従業員に限らず、業務委託の相手方なども含まれます。そのため、連鎖販売の会員のケースでも同様の責任を負担する可能性があります。
 貴社が、Aがしたような勧誘を一般的に禁止していたとしても、Aの問題のある勧誘を知っていて、適切な指導をしないなどの事情があれば、賠償責任を負担する可能性が高くなります。
 一方(以前の記事でもご説明しましたが)、会員Aが貴社の事業であるサプリメント販売とは無関係の、例えば「投資勧誘」で問題を起こした場合、「外形」がなく、貴社が法的な責任を負担することはないと思います。
 続いて

(続きは、「日本流通産業新聞 5月1日・8日合併号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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