【千原弁護士の法律Q&A】▼433▲ M&A取得時の注意ポイントは?(2025年7月17日号)

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<質問>



 当社は、関連事業の強化による、売り上げの増強を考えています。そんな中、社長が知り合ったM&A仲介業者から、A社をM&Aで取得することを勧められました。ただ、当社には、過去にM&A案件に関わったスタッフがおりません。基本的な注意ポイントを教えていただけるとうれしいです。(通販会社社長)

<回答> 無駄を恐れず入念な精査を


 M&Aは大流行しており、私も顧問会社から毎週のように関連する相談を受けます。
 M&Aは、詐欺的な取引や致命的な失敗例も非常に多く注意が必要です。疑わしい業者が跋扈(ばっこ)していますから、信頼できる仲介業者を選任し、適宜、専門の弁護士や会計士のアドバイスも受けながら進めるのが基本です。
 また、問題があれば、ある程度費用や手間をかけていても、引き返す勇気が必要です。
 以下に、M&Aを行う上で重要な部分を列挙します。
 (1)まずM&Aについては、相当の費用をかけて、法務と財務のデューデリジェンス(以下DDとします)を行うことが基本となります。
 これは、買収先の企業について、「法的、財務的な問題がないか」「売り物どおりの内容か」を精査する手続きです。
 法務は弁護士が、財務は公認会計士、税理士等の専門家が行います。費用は通常は数百万円単位でかかります。
 その結果を受けて、貴社は、進めるか、断念するかを判断することになります。
 断念する場合は、DDにかけた費用は無駄になります(それは想定済みで行います)。
 DDの費用を惜しむと、とんでもない欠陥のある企業を購入するリスクを負います。
 (2)続いて、

(続きは、「日本流通産業新聞 7月17日号で)

〈プロフィール〉
 1961年東京生まれ。85年司法試験合格。86年早稲田大学法学部卒業。88年に弁護士登録して、さくら共同法律事務所に入所し、94年より経営弁護士。第二東京弁護士会所属。現在、約170社(うちネットワークビジネス企業約90社)の企業・団体の顧問弁護士を務める。会社法などの一般的な法分野に加え、特定商取引法・割賦販売法・景品等表示法・知的財産法を専門分野とし、業界団体である全国直販流通協会の顧問を務める。著書に「Q&A連鎖販売取引の法律実務」(中央経済社)などがある。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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