【米国視察リポート 〈速報〉IRCE@RetailX】〈後編〉 情報拡散型の店舗が生き残る

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勢いがなくなる「アンダーアーマー旗艦店」

 6月下旬に参加した米国のECイベント「IRCE@RetailX」の展示会と、シカゴ市内の店舗視察で確認できた変化を共有いたします。
 その年の有力サービスが出展する展示会で目立ったサービスは、「アマゾン広告最適化」「複数チャネル効率運用」「Shopify(ショッピファイ)カート」がありました。以前目立った「パーソナライゼーション」「オムニチャネル」は陰を潜めていました。
 ここから感じる変化として、米国はアマゾンのシェアが一定のレベルまでに達し、対抗するモールや「ショッピファイ」で構築する自社サイトを含めた複数チャネル展開が活発になってきています。この動きは日本も近いので理解しやすい動きと捉えています。


■専門店にも影響

 次に、シカゴ市内の店舗視察で感じた変化ですが、GAPなどの従来型の専門店の勢いが急速に衰えている印象を受けました。2年くらい前から百貨店のメイシーズ、ディスカウント系のターゲットなどはアマゾンの影響を受けて勢いがなくなっていました。その影響は有力専門店にも出ているようです。
 一方、郊外のショッピングモールなどにD2C(Direct to Consumer)モデルのヨガウエアブランドとして注目を集める「lululemon(ルルレモン)」などが出店しており、顔ぶれの変化を感じました。
 同時に気になったのが、毎年視察しているスポーツブランド「アンダーアーマー旗艦店」の変化です。店内の体験コーナーも撤去されていて、無駄と思われる空間が広がり、全体に勢いがなくなっていました。
 特定のカテゴリーを「ルルレモン」のような新興企業に奪われている可能性が高いです。日本に置き換えるとEC比率が米国同様に10%を超えたころには、約40年間続いた郊外を中心とする「専門店」の衰退が顕著になり、都市型のメーカー直営店が増えてくると予想できます。
 ただ、米国はその先にメーカー直営店の一部は、新興の「D2C」企業に顧客が奪われていくことも起きています。日本企業としてはEC販売とSNSでファンが多いブランドの店舗を都市部に出店するよりも、メッセージ性のあるコンセプト、パッケージ、カスタマイズ可能など、店舗内で「スマホ経由で、すぐSNS・動画で情報発信したくなる」ような「情報発信型」店舗が必須になると感じました。
 例えば、全国展開で増えた「総合型の専門店」の中には、「店内写真撮影禁止」のような発想を持つ店舗は衰退していくことは間違いないと感じました。
 約40年間続いた「専門店」が、アマゾン、EC・SNS連動で成長するD2C企業の影響を受けていることを実感しました。日本でこのような動きが顕著になるのは3~5年後かと思います。変化への対応はまだ時間がある状況です。


■アマゾン化進む

 最後に、アマゾンが買収した「ホールフーズ」にも行きましたが、店内入口、目立つ場所、レジに「アマゾンプライム会員特典」の露出が確実に増えていました。「ホールフーズはアマゾンのお店」という雰囲気となり、リアル売り場の取り込み、客層の拡大、膨大なデータの収集などが進んでいると実感できました。巨大ネット企業のポイントを含めてリアルへの浸透も進んでいくことでしょう。
 2回にわたり速報で共有しましたが、アマゾンを中心にしながら緩やかながら、従来の小売り成長モデルを根底から覆すような地殻変動が目に見えて感じることができましたので、このような変化を皆さまの事業戦略にも参考にしていただければと思います。(おわり)


〈筆者プロフィール〉
株式会社いつも.上席コンサルタント 高木 修

 IRCEは6年連続参加。ラスベガスイベント「Shoptalk」も2回連続参加。毎年アメリカ視察を行い小売及びECの最新動向も収集し、日本での活用を提案している。最近の著書として「アマゾンを飲み込め!」(幻冬舎)がある。

アマゾン訴求が増える「ホールフーズ」

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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