【米国視察リポート 〈速報〉IRCE@RetailX】〈前編〉 アマゾンを中心に小売モデルの変化続く

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イベント内のセミナー

イベント内のセミナー

 6月25~28日、米国・シカゴで開催された世界最大級のECイベント「IRCE@RetailX」に参加してきました。今年で6年連続の参加です。イベント内のセミナーやシカゴの店舗視察から感じたECと小売業界の動向についてお伝えします。
 イベントで感じたのは「アマゾンの影響を受けながら小売業界は変化し続けている」ということです。アマゾンの勢いを裏付けるデータとして、米国の消費者が欲しい商品を探す際に、グーグルなどではなくアマゾンから始めるという人が66%にも上るという調査結果が提示されていました。さらに特定商品を買う際は76%がアマゾンで検索するといいます。まさに「商品購入のポータル(玄関)」の地位を確立しています。
 メーカーのアマゾンのイメージも大きく変わっています。アマゾンに自社の商品がないと多くのユーザーが競合に流れてしまうことから、二の足を踏んでいたブランドが相次いでアマゾンに進出しています。
 アマゾンに卸して売ってもらうベンダー型ではなく、自らが売るセラー型が主流になっています。ブランド自身が商品ページを拡充したり、広告運用を行うトレンドが今後の主流になることは確実です。
 ただ、広告運用はより高度になってきているので外部企業に委託する動きも加速しています。日本でも同じ流れが起きると予測しています。


■店舗の新たな役割

 現在、米国のEC化率は約15%ですが、これが33年には50%を超えるという、ちょっと極端と思えるような予想も出ていました。小売店の売り上げは現在の3分の1以下に落ちるという計算も出ており、米国では日本より早く「小売りがどうやって生き残っていくのか?」に直面しています。
 これからの店舗は「商品を売る」だけではなく、「情報を拡散する」という役割が求められるでしょう。顧客が店舗で試し、感動してSNSや動画で発信。購入後にグーグルマップやアマゾンなどでレビューを書くために、店舗が必要になるという考え方が出てきています。このあたりは次回でも触れていきます。
 日本では米国ほど急激な変化は起きていないですが、その分余計に怖さを感じます。日本企業の特性からして、その緩やかな変化がゆえに店舗モデルの転換が遅れてしまったり、ECやデジタル対応に遅れてしまうことがあります。今こそが米国の変化を参考に具体的なモデルチェンジが必要なタイミングといえます。
 次回は展示会で把握した米国ECのトレンドの報告と、シカゴ市内で見た小売店舗の変化から日本の小売りの近未来を予測してみたいと思います。(つづく)


〈筆者プロフィール〉
株式会社いつも.上席コンサルタント 高木 修

 IRCEは6年連続参加。ラスベガスイベント「Shoptalk」も2回連続参加。毎年アメリカ視察を行い小売及びECの最新動向も収集し、日本での活用を提案している。最近の著書として「アマゾンを飲み込め!」(幻冬舎)がある。

イベントに参加したいつも.の高木氏(写真右)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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