【踊らされない!戦略的自社ECのTEC活用術】第5回 LINEアカウントは目的を決めて運用

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■LINEならではの特徴を利用

 前回は、LINE利用のメリットと、友達登録者数を増やす方法について説明しました。今回はLINEの配信内容の工夫の仕方について解説します。
 メルマガでは、テキスト配信ではなくHTML配信がメインになってきましたが、配信設定には、コーディング(※)が必要です。LINEでは「リッチメッセージ」といって、画像中心の配信を手軽に行うことができます。テキストだけのメッセージよりもクリック率は高く、画像さえあれば、コーディングができない人でも配信が可能です。
 また、LINEの大きな特徴は、最新のメッセージが一番下に表示されることです。メルマガでは伝えたい重要な情報は、上段に配置していましたが、LINEの場合は重要なものは最下部に配信する必要があります。もし、テキストとリッチメッセージ(画像)の両方を配信する場合、順序に気を付けてください。
 また、下部にリッチメッセージ(画像)を配置することができます。もちろん、配信時にはメニューが最もクリックされる傾向があります。当社のメガネスーパーの場合は、コンタクトレンズを手早く注文できるよう、メニューを表示しています。
 リピート性が高い商材の場合には、ユーザーが簡単に注文できるよう、商品ページにすぐ遷移できるリンクを設置しましょう。その都度配信する内容をメインに見せたい場合は、リンクを非表示にするのが良いでしょう。


■アカウントの役割定義を決める

 クラシコム(本社東京都)が運営する「北欧、暮らしの道具店」では、ロイヤルティーの高いユーザーに向けたコンテンツ重視のLINE配信をしています。毎日1回、1枚のリッチメッセージに(1)コラム2本(2)ECサイトへのリンク(3)キャッチコピー─をまとめたものを配信しています。「毎日コラムが送られてくる」ということが、ロイヤルユーザーにとって、インセンティブになっているのです。
 メガネスーパーでは、お得情報を中心に配信しています。特徴的なのは、土日になると友達登録の有効数が増えるということです。これは来店に合わせて、LINEアカウントのブロックを解除している方が多いからではないかと捉えています。「クーポンがある」ということをユーザーに周知できれば、アカウントの役割が鮮明になってきます。
 事前に、アカウントの役割を定義づけ、それをユーザーに認識してもらうことが重要です。


■業種に適した配信を

 アカウントの役割を周知できれば、ECサイトの継続利用にもつながります。前回説明したLINEログインも、友達登録継続の一因になります。
 業種によって、どのような配信が有効かということは異なります。例えばアパレルECだと新作、再入荷、セール情報という3大要素があります。
 「安い」という情報はコンバージョンに直結しやすいですが、それがすべてではありません。「新しい」「使用感」「簡単」「限定」といった、ユーザーにメリットのある情報を押し出してファンを獲得するのも良いでしょう。



 ※コーディング…プログラミング言語を用いてプログラムのソースコードを記述する作業のこと。


〈プロフィール〉
 ビジョナリーホールディングス 執行役員 デジタルエクスペリエンス事業本部 事業本部長
 川添・隆(かわぞえ・たかし)

 アパレル関連企業2社を経験後、前職ではEC事業責任者として売上倍増に寄与した。2018年4月よりビジョナリーホールディングスで現職。ECを4年で3.4倍に拡大。オムニチャネルに取り組む傍ら、コンサルも手掛け、EC関連のセミナーにも多数登壇している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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