【踊らされない!戦略的自社ECのTEC活用術】第2回 ECサイト改善は決済から

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 今回は、ECサイトを改修したりツールを導入したりする際の順番について解説します。さらに、顧客の利便性向上に直結する、決済部分の改善方法については、詳しく紹介します。


■”購入完了”から改修

 ECでは、集客の増加が、売り上げの拡大の早道と考えられがちです。そのため、特に広告投資をして、ECサイトへの集客力を高めようと考える事業者が多いようです。ただ、広告投資は「今」の売り上げを上げるための施策でしかありません。売り上げを上げるための最も効率的な投資は、サイトの改善やツールの導入なのではないかと私は考えています。
 これまでの私の経験からいうと、ECサイトの売り上げ拡大につながりやすいのは、”購入完了”により近い部分から順番に改善していくことだと感じています。ECサイトの改善は、購入完了ページから逆にたどっていくべきでしょう。まずは、決済方法、注文情報入力、配送手段、ログイン方法などについて、顧客に「わずらわしさ」を感じさせないようにサイトを改善していくとよいでしょう。
 システム投資が必要な場合も同様で、購入完了に近い部分から改善していくべきです。ただ、商品ページ、トップページについては特別で、サイトのブランドらしさを伝えられるよう、継続的な改善が必要だと考えています。


■40代と相性いい楽天ペイ

 さて、真っ先に取り組むべき決済手段の改善ですが、ECサイトに導入すべき基本的な決済手段は「クレジットカード決済」「代引き決済」「後払い決済」の三つです。顧客にどんな層がいても、どんな商材を扱っていても、この三つは押さえたいところです。
 最近は、「楽天ペイ」や「AmazonPay(アマゾンペイ)」など、ID決済を導入するECサイトが増加しています。ECユーザーのほとんどが、Amazonか楽天にアカウントを持っていて、カード情報を登録している人も多いです。ID決済の良いところは、ユーザーが移動中に、クレジットカードを取り出さなくても注文できることです。何か一つ導入しておいた方がいいでしょう。
 どのID決済を導入したらよいかは、企業の好みによって分かれます。Amazonと楽天では、それぞれ微妙にUI(ユーザーインターフェース)が異なりますが、取得できるデータはほとんど同じです。「楽天ペイ」は、楽天ポイントがインセンティブになるため、特に40代のユーザーとの相性がいいでしょう。
 一方、利便性の高いAmazonは全年齢に満遍なく利用されています。購入時に会員登録が必須であることから、「アマゾンペイ」経由の配送先情報は、正確性が高いといわれています。Amazonをよく利用するユーザーにとっては、ポイントがなくとも使いたくなる便利な決済手段といえます。
 次回は、後払い決済や携帯電話のキャリア決済、ECサイトのログイン方法などについて、詳しく解説します。(つづく)


〈プロフィール〉
 ビジョナリーホールディングス デジタルエクスペリエンス事業本部長
 川添・隆(かわぞえ・たかし)

 アパレル関連企業2社を経験後、前職ではEC事業責任者として売上倍増に寄与した。2013年よりメガネスーパー、2017年11月よりビジョナリーホールディングスで現職。ECを4年で3.4倍に拡大。オムニチャネルに取り組む傍ら、コンサルも手掛け、EC関連のセミナーにも多数登壇している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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