【踊らされない!戦略的自社ECのTEC活用術】第6回 顧客の需要に応えるLINEの活用方法

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前回は、LINEアカウントを具体的にどのように使うかについて解説しました。今回は、情報の発信に限らず、顧客の需要に応えるLINEの活用方法についてお伝えします。


■目的に合わせた配信を

 現在は企業向けに、配信を自動化するサービスもリリースされています。例えば、SHIBUYA109などが利用している「WazzUp!(ワザップ)」というツールでは、企業のECサイト上の、売れ筋ランキングや新作商品の発売の情報、商品の詳細情報を自動で取得し、特定のタイミングで自動配信を行なうことができます。「ワザップ」は、自社のECシステムと連携させれば、より細かな情報配信先の設定も可能になります。
 自社で配信する情報の内容やタイミングがある程度決まっている場合は、こうしたツールを利用して負担を減らすのもお薦めです。限られたフォーマットの中でどのように工夫を凝らすかということが問題なのです。
 ただ、重要なのは、顧客に「どのようなインセンティブを提示するか」ということです。「顧客の興味を引くコンテンツ」「簡単に商品を注文・購入できる利便性」「新作の告知」など、業種やブランドに合わせてLINEアカウントの役割を決定づけましょう。


■コミュニケーションの窓口に

 最近では学習塾でも保護者向けのLINE配信サービスを行っている企業があるようです。授業内容や学習進度の説明、問い合わせ窓口などに活用されています。LINEはどのような業種でも活用できるのです。
 多くの企業がLINEを利用するようになった半面、立ち上げ期よりも配信に対する顧客の反応が薄くなってきています。ただ、アカウントの役割次第では利用者を伸ばし続けることもできます。
 LINEを通じて、最寄りのメガネスーパーなどのグループ店舗にコンタクトレンズの在庫があるかどうかを確認したり、取り置きを依頼したりできるサービスを当社では提供しています。「すぐに欲しい」という需要に応える役割を果たしています。こうした店舗と連携したLINEの活用方法が新規顧客の創出につながっており、現在も購入者の6〜7割を新規顧客が占めています。
 アパレルブランドのSTUDIOS(ストゥディオス)では、配信を行わず、問い合わせ窓口に用途を限定してLINEを活用しています。問い合わせメッセージを送るとブランド側が返信してくれる仕組みです。同ブランドの顧客は若い消費者が多いので、メールや電話よりも適しています。
 このように、「顧客対応に特化する」使い方もあります。特定の領域に特化してアカウントを活用する方が、ユーザーの需要に応えることができ、結果として登録者数や購入者数の増加につながりやすくなります。
 顧客とのコミュニケーションを行うプラットフォームとして、LINEをどのように利用するかということが重要です。(つづく)


〈プロフィール〉
 ビジョナリーホールディングス 執行役員 デジタルエクスペリエンス事業本部 事業本部長
 川添・隆(かわぞえ・たかし)

 アパレル関連企業2社を経験後、前職ではEC事業責任者として売上倍増に寄与した。2018年4月よりビジョナリーホールディングスで現職。ECを4年で3・4倍に拡大。オムニチャネルに取り組む傍ら、コンサルも手掛け、EC関連のセミナーにも多数登壇している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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