【BtoB―EC】 〈インタビュー〉イーシー・ライダー 川手正己社長/業務効率化を目的にEC化検討を

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川手正己社長(写真右)と営業部の帷子幸花氏

川手正己社長(写真右)と営業部の帷子幸花氏

 イーシー・ライダー(本社愛知県、川手正己社長、(電)052―231―1714)は、BtoB(企業間)取引向けのECサイトシステム「EC―Rider B2B(イーシーライダー・ビートゥービー)」を提供している。2009年の正式リリースから今年で11年目を迎える。BtoB―ECの黎明期から市場に関わってきた川手社長に、BtoB―EC業界の見通しと製品に関する強みについて聞いた。

 ─「EC―Rider B2B」の特徴と強みについて聞きたい。
 商品、取引先ごとの卸価格を設定できたり、見積書をウェブで制作するなどBtoB―ECを始める上での必要な機能を網羅した上で、お客さまのビジネスモデルに合わせてカスタマイズができ、これをASPとして提供できる点だ。単に機能を提供するのではなく、企業の基幹システムの一部だと考えている。お客さまの業務がスムーズに回ることで業務効率を高めたり、結果的に売り上げを向上していくことを想定している。
 2009年にリリースした時は、この市場はほとんど認知されていなかった。この市場に新規参入する目的は2つある。まずは、新しい取引先を開拓するために営業チャネルとして始めるケース。もうひとつは、既存の受発注をEC化することで業務効率の改善を目的にすることが挙げられる。
 ─他社からの切り替えが多いと聞く。
 BtoC企業がBtoBに新規参入する場合に、既存のシステムでは対応できないケースが多く、カスタマイズが必要な場合は検討してもらっている。
 ─これまでどのような企業への導入を進めてきたのか。
 海外向けの卸売りをする際に、PDFのメールや電話などで受注していたある企業では、導入前には人員を増やして対応せざるを得ない状況だったが、導入後は少ない人数で業務が対応できるようになった。
 最近では、よりコンシューマーに近い法人のお客さま(個人事業主など)を対象にする企業からのニーズが増えてきた。取引の多い既存顧客に対してはこれまでの電話やFAXなどで受注を継続し、それほど取引金額が多くないような場合は、ECサイトへ誘導することも目立ってきた。
 一般消費者向けに販売する美容機器メーカーが、業務用の製品をエステサロンなどへ卸売りするケースも増えてきた。取引先によって製品を分けることで幅広いビジネスチャンスをECサイトで得ようとしているようだ。基本的には、会員登録しないと卸価格は表示されない「クローズド」か「セミクローズド」だ。
 ─導入が増えている背景についてどう見ているか。
 企業が慢性的な人材不足を課題として抱えるなかで、自社の営業社員が適正な人員なのかという点と電話やFAXによる受発注によってミス(ヒューマンエラー)が生じてしまうことだ。社員が電話やFAXで得た情報を基幹システムに登録する作業が、本当に効率的なのかを疑問に思う経営者が増えてきた。
 一方で、導入の検討を進めたものの、業界の古い商慣習や新しいシステムの導入を嫌う社内の雰囲気に押されて見送ったケースも何度か経験してきた。トップダウンで社内の業務効率を改善していくという強い意志が導入に向けて必要なのかもしれない。
 限られた営業社員で経営しているある導入企業は、思うようなルート営業ができないため、ECサイトで受注をしてもらうことで成果につなげる。人口の減少に伴い企業の人材不足がより深刻になると予想されている「2025年問題」を見据えて、企業は業務効率化を目的にEC化を検討してもらいたい。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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