〈オウンドメディア事業者〉 相次ぐEC参入/送客の成功事例も

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 オウンドメディアの運営事業者のEC参入が相次いでいる。日本酒専門メディア「SAKETIMES(サケタイムズ)」の運営を行うClear(クリアー)は、18年7月に日本酒のECを開始。くらしの買い物を楽しむ女性向けのオウンドメディア「hintos(ヒントス)」を運営するクレディセゾンも、19年7月にECに参入した。EC参入が相次ぐ背景には、広告掲載モデルの収益性が悪化してきていることがあると指摘する業界関係者もいる。一方で、日常生活の役立ち情報のオウンドメディア「くらしのマーケットマガジン」を運営する、みんなのマーケットは、15年にリフォームECに参入。現在の年間流通額は「非公開」(同社)としているが、数十億円になっているとみられている。成功例もでてきていることから、今後もオウンドメディアのEC参入が続きそうだ。

■知見を商品開発に

 Clear(本社東京都)が「SAKETIMES(サケタイムズ)」の運営を開始したのは14年。同メディアで紹介してきた、酒蔵や日本酒メーカーは300社を超えており、記事掲載数は3000本を超えている。培ってきた日本酒に関する知見を生かして立ち上げたのがECサイト「SAKE100(サケハンドレッド)」だ。
 数百の酒蔵で味見をしてきた経験を生かし、PBの日本酒を開発した。酒蔵などと共同で製造しているため、大量生産は困難だが、現在までに4種の商品を開発している。
 月間40万PVを集める「SAKE TIMES」だが、その顧客がそのままECサイトのユーザーになるというほど単純ではない。「当社では、あえてSAKE100とメディア事業は切り離して考えている」(生駒龍史CEO)と言う。「メディア事業は『日本酒のボトムアップの場』であり、ECに直接誘導するというのはちょっと違う」(同)と話す。ECでは実際に、メディアの既存ユーザーではなく、新規ユーザーの購入が多いという。読み物を求めるユーザーと、買い物をしにくるユーザーとではそもそも入り口が違うというのが同社の考え方だ。ただ、メディアとECが連動できるようなサイト作りにも今後、注力していく必要があると感じているという。「今後どうするかは検討していく」(同)と話している。


■商品の感想を記事化

 「hintos(ヒントス)」を運営するクレディセゾンは19年7月、同メディアにカート機能を導入、EC事業を開始した。

(続きは、「日本ネット経済新聞」9月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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