【中国ECアプリ「Temu」の脅威】GMV1・4兆円超の観測も/低価格、ゲーム性でシェア拡大か(2023年8月3日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
広告で大幅割引をアピールしアプリへ誘導

広告で大幅割引をアピールしアプリへ誘導

 中国発の格安ECアプリ「Temu(ティームー)」が今年7月、日本に上陸し、話題を集めている。圧倒的な低価格が売りで、「最大90%OFF」「送料無料」などのキャンペーンを展開し、日本でも利用者を獲得しようとしている。米国では22年秋から事業を開始し、アプリのダウンロード数が1位になるなど、人気を集めている。すでに20カ国・地域に展開しており、23年の流通総額(GMV)はグローバルで100億ドル(1兆4200億円)に達するという見通しもある。世界中を席巻(せっけん)する「Temu」の国内事業者への影響について識者に聞いた。

■圧倒的な低価格

 「Lenovoのヘッドフォンが96%OFFで270円」「新規ユーザー限定でバックパック383円(送料無料)」など、一度、「Temu」のアプリを利用すると、目を疑うような広告が表示される。
 初めて目にしたユーザーには、「またいかがわしいECサイトが出てきたな」と思われるかもしれないが、「Temu」を展開しているPDDホールディングスは、中国でもアリババグループや京東グループに次ぐ、大手EC事業者だ。
 PDDホールディングスは中国で飛躍的に成長したECサイト「●(●はてへんに「並」の簡体字)多多(ピンドゥオドゥオ)」を展開している。海外展開に当たり、「Temu」というサービスブランを立ち上げ、資本力を武器に海外市場でシェアを獲得するべく、強力な価格攻勢を仕掛けているのだ。
 米国では、今年2月に開催された、全米が注目するNFLの優勝決定戦「スーパーボウル」の中継にCMを放送し、サービスの認知を高めた。アプリは今年3月までに、5000万ダウンロードを突破し、米国で1位になったという。


■ゲーム性で購買促進

 「Temu」はアパレルを中心にグローバル展開する「SHEIN(シーイン)」のように、かなりのスピードで成長するとみられている。「Temu」の方が取扱商材の幅が広く、多くの国内事業者にとっても脅威になる可能性は大きい。
 実際に「Temu」を利用した日本ECサービスの清水将平代表は、「会員登録などSNSと連携しており、よくできている。『SHEIN』同様に、ゲーム性も取り入れて、さらにサービスが強化されるかもしれない」と感想を述べる。
 海外ECに詳しいワサビの大久保裕史代表は、

(続きは、「日本ネット経済新聞」8月3日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ