消費者庁/財宝に指示処分/電話勧誘で重要事項を告げず

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 消費者庁は、酒やサプリメントなどを通信販売する財宝(本社鹿児島県、水迫邦男社長)に対し、特定商取引法に基づく指示処分を12月9日付で行った。健康食品の定期購入を電話勧誘販売した際に、勧誘員が商品価格や代金の支払い時期、引渡時期などを伝えていなかったことが「重要事項不告知」にあたると判断された。
 処分内容は、まず重要事項の不告知に当たらないよう、電話勧誘の際に契約する商品の価格や支払い時期などを必ず告げるよう指示した。その他、20年1月17日までに、「今回の違反行為の発生要因について調査分析し、その結果を消費者庁長官宛に文書での報告」「社内のコンプライアンス体制を構築し、再発防止策とコンプライアンス体制について文書での報告」を求めた。
 消費者庁によると、財宝の社員である電話勧誘員が18年1月頃、消費者宅に電話をかけ、「いきいきグルコサミン」などのサプリメントの勧誘をした。その際に、「新しい製品が出たので、一つ100円でお得なので試しませんか」と勧誘したが、消費者は「購入するつもりはない」という意思を伝えたという。しかし、勧誘員はその後も勧誘を続け、結局、消費者は100円のお試し商品の購入を承諾した。
 数日後、商品が消費者宅に届き、消費者が書類を確認すると、「100円でのお試し商品を購入すると、商品の定期購入もしたことになる」と記載されていたという。2回目以降に引き渡される商品の販売価格、代金の支払い時期についての説明も一切なかったが、定期購入の契約を締結した旨の「定期購入のお申込みを賜り、誠にありがとうございました」という一文が記載されていたとしている。
 消費生活センターに寄せられた、16年1月から19年11月11日までの相談件数は1590件。18年度は513件で最も多かった。都道府県別では、青森県が67件と最多だった。18年度に相談が急増した要因について、消費者庁は「具体的な要因については分からない」と言い、青森県で相談件数が多い理由については、「高齢者の被害が多く、高齢者の多い青森県での相談が目立った」とコメントしている。業務停止を命じなかったことについて、「悪質性や事案を総合的に判断して、指示が妥当とした。指示だけでも十分重い」(取引対策課・笹路健課長)と話している。


■第三者委員会発足へ

 処分を受けて財宝は12月12日に、コンプライアンス体制強化のため、第三者委員会を立ち上げる。委員は弁護士などの有識者や社内の役員を中心に構成される。執行役員の岩元創氏は「今回の処分を重く受け止めている。第三者委員会を中心に、各部署から末端までコンプライアンス教育を実施していく」と話す。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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