〈急増するコーヒーEC〉 「おうち」需要巡り競争激化

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 コーヒーECに参入する企業が急増している。背景には、コロナの外出自粛で増えた「おうちコーヒー」需要を獲得する狙いがある。カフェ業界は、コロナ禍で実店舗の売り上げを大きく落とした。減収分を新たに開設したECサイトで補おうとする動きが活発化している。すでにECを始めていた企業にも、ECサイトのてこ入れを図る動きが目立つ。コーヒー豆の卸事業者や、コーヒー機器のメーカーなども、続々とコーヒーEC市場に参入しており、参入障壁の低い同市場は、にわかに戦国時代の様相を呈している。大手・中堅企業は、開発力・生産力を生かし、独自商品や大容量の商品で差別化を図っている。一方、得意ジャンルに特化し成功をつかむ中小企業も出てきている。飽和しつつある市場の中では、ブランディングや差別化が大きな意味を持ちそうだ。

■大容量を武器に成長

 競争が激化する、コロナ禍のコーヒーEC市場の中で、大手・中堅企業は、大容量商品の販売で、売り上げを拡大させている。澤井珈琲(本社鳥取県)でも、大容量のドリップバッグやコーヒー豆が、成長をけん引する存在となっている。楽天のランキングでも2キログラム入りのコーヒー豆が上位に名を連ねる。
 同社は、20年3月期のEC売上高が前期比8%増の34億3000万円となっていたが、21年3月期についても大幅増収で着地できる見通しになっているという。20年4~5月度の月商は、コロナ禍で増えた在宅需要を追い風に、前期比50%増に達したという。
 同社は12年連続で楽天SOYを受賞している実力派企業。今期(21年3月期)は、売り上げの中心である楽天市場に加え、ペイペイモールの売り上げも好調だったという。
 従来の工場規模では、売上高30億円が限度と判断し、設備投資も行った。20年1月に2億円のドリップバッグ製造機を2台に増台。1日15万個の生産体制を整えた。20年には浅草とスカイツリーに実店舗をオープン。外国人観光客への認知を高めることにより、越境ECを含めたEC売上高を、50億円まで高めたい考えだ。
 フレッシュロースター珈琲問屋(本社神奈川県)は、求めやすい価格が評価され、コロナ禍でも、

(続きは、「日本ネット経済新聞」3月18日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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