千趣会/JR東と資本業務提携/EC事業と会員基盤を強化へ

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JR東日本の深澤祐二社長(写真左)と千趣会の梶原健司社長

JR東日本の深澤祐二社長(写真左)と千趣会の梶原健司社長

 千趣会は9月16日、東日本旅客鉄道(JR東日本)と資本業務提携を締結した。千趣会が実施する第三者割当による自己株式処分を、JR東日本が引き受ける。千趣会のマーケティング力や会員基盤と、JR東日本が持つリアルでの顧客接点とポイント会員基盤を融合。JR東日本が運営するECモールの強化やオリジナル商品の開発、決済での連携を強化し、顧客の相互送客につなげていきたい考えだ。

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【記者の目】 再建途上で提携先模索

 千趣会が東日本旅客鉄道(JR東日本)との資本業務提携を締結したのは、経営再建途上において、新たな経営資源を持つパートナーとの提携先を模索してきたことが背景にある。千趣会は前期(19年12月期)決算で黒字転換を果たしたが、それは資産の売却などが寄与したもので、本業の通販事業やブライダル事業の復活は盤石とは言えない状況が続いているからだ。
 千趣会は18年3月、業績悪化からの経営再建を図るため、REVIC(レビック)パートナーズが運営するファンドから優先株式による出資を受けた。前期は本社の土地・建物などの固定資産を売却。当期純利益は81億8200万円を計上した。収益性の改善に一定のめどがたったとして、REVICファンドが保有する優先株を取得し、消却していた。
 しかし、通販事業の縮小に伴い顧客基盤が脆弱(ぜいじゃく)化するなど、再建途上にとどまっていた。しかも、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、収益基盤だったブライダル事業の縮小も余儀なくされていた。
 通販事業の経営環境に変化が生じてきたことから、自社にない経営資源を持ったパートナーとの提携による、これまでとは異なるアプローチを検討してきた。その一環として19年10月ごろから、シナジー効果が期待できる提携策の探索を開始。有力な提携先として今年4月から、JR東日本と資本業務提携の締結に向けた検討を開始した。
 ただ資本提携はともかく、業務提携においては、先にJフロントリテイリングとの提携の際も、計画した事業はほとんど実現されず、双方のシナジー効果は見いだせなかった経緯がある。JR東日本との業務提携においても同様の事態が起こり得る可能性は拭い切れず、千趣会にとっては早急に通販事業を中心とした本業の回復にめどを付けることが必要となる。

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