家電EC事業者が独自戦略を強める動きを加速している。ECサイト「ECカレント」を運営するストリームは4月、家電レンタル事業を本格的に開始。3PL支援とともに、家電ECに次ぐ事業の柱に育成する考えだ。ECサイト「PREMOA(プレモア)」を運営するMOA(モア、本社東京都、山口龍平代表)は、プライベートブランド(PB=自主企画)商品事業が好調だ。今年1月、PB商品の液晶テレビが「ジェネリック家電大賞」を受賞するなど、着実にPBのブランド力を高めている。家電EC事業者のこうした動きは、大手家電量販店のECシフトによる危機感が背景にあると考えられる。激戦化する家電EC市場において、独自性を備えることが生き残りの必須項目となりつつある。
■ECノウハウ生かす、新事業で利用者開拓
ストリームは4月21日、家電レンタルの専用サイト「Rentoco(レントコ)」をオープンし、家電レンタル事業を本格開始した。背景には、EC事業ではカバーしきれなかったユーザー層の開拓がある。
「消費行動が多様化する中、『購入前に試してみたい』といった、販売では対応できないニーズに向け展開する」(ストリーム・右田哲也取締役営業本部長)としている。
「ECサイトの既存ユーザーとは異なる層の利用を想定している」(同)と言うレンタルサイト上では、使用シーン別の表示など、より提案型の商品ページにして、「ECカレント」と差別化している。
レンタルを経て購入を希望するユーザーに向け今後、「レントコ」から「ECカレント」への動線設計の強化も計画している。レンタル事業の利用を通じて、EC事業のさらなる活性化を図る考えだ。
プレオープン期間中のレンタル事業も含めたストリームの20年2―4月期(第1四半期)のEC売上高は、前年同期比14.7%増の61億1100万円だった。「巣ごもり需要に訴求する特設ページなども奏功し、レンタル事業も計画以上のスタートを切れた」(同)と振り返る。
■サイト・商品のブランド力強化
激戦化する家電EC市場の中でMOAは、ECサイトと独自商品のブランド力を高めている。
(続きは、「日本ネット経済新聞」7月2日号で)
〈家電EC事業者〉 加速する独自戦略/量販店のECシフトも影響
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