消費者庁/「勝手に定期」で初処分/単品通販2社に特商法新規定を適用

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 17年11月に導入された、いわゆる「勝手に定期購入」への規制が、初めて適用された。消費者庁は19年12月26日、化粧品のECを運営するTOLUTO(トルト、本社東京都、佐々木信一社長)に対して、定期購入関連の表示に問題があったとして、特商法に基づき3カ月間の業務停止命令を行った。同社の中谷裕一前社長に対しては、同期間の業務禁止処分命令を行った。サプリのECを運営するAQUA(アクア、本社東京都、平原敬教社長)に対しても同日、定期購入関連の表示を理由に、特商法に基づき業務改善を指示した。
 ネット通販において、お試し商品を購入したつもりが定期購入の契約になっていたという消費者トラブルが、いわゆる「勝手に定期購入」。
 17年11月に、「商品の売買契約を二回以上継続して締結する必要があるときは、購入者が支払うことになる代金の総額の条件を、全て正確に明示しなければならない」という規定が、特商法の省令に導入された。
 消費者庁によると、トルトは遅くとも19年5月16日から11月7日までの間、化粧品のECサイトの決済画面において、特商法が求める総額表示よりも上部に、申込確定ボタンを設置していたとしている。消費者庁は、トルトのECサイトの、申込確定ボタンと総額表示の位置がかなり離れていることや、2回目の商品代金の支払時期を表示していないことなども、特商法違反に該当すると判断した。
 トルトの旧社名はe.Cycle(イーサイクル)。同社が運営するECサイトで販売するサプリ「ケトジェンヌ」について、危害情報が89件寄せられているとして、消費者庁は9月6日、消費者安全法に基づく注意喚起を行っていた。同社についての取引に関する相談は、19年4月からの5カ月間だけで1800件以上寄せられており、定期購入関連の相談の増加が、危害情報の増加につながった可能性も指摘されていた。
 アクアについても消費者庁は、遅くとも19年10月28日以降、決済画面に表示された申込確定ボタンの表示が、「ご注文完了ページへ」となっていたと認定。決済画面が最終ページであるにもかかわらず、あたかも次のページがあるかのように表示していた点が、特商法違反に当たるとしている。
 国民生活センターによると、アクアについては、19年4月~12月10日までの約8カ月間に、2419件の相談が寄せられていたという。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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