【「事業者重点施策」×「有識者予測」にみる15年EC業界】「オムニ」「スマホ」がキーワード/「ファンとのコミュニケーション」にも脚光

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 2015年のEC市場はどう動くのか。今年もさまざまな形で起こりうる競争の波を、EC事業者はどう迎え撃つべきなのか。「オムニチャネル」「店頭受け取り」など、ネットとリアルの融合の動きは、加速度を増しそうだ。「即日配送」など物流体制の強化を図る取り組みも引き続き活発化しそうだ。本紙が有識者に15年のEC市場予測について取材したところ「オムニチャネル」「スマートフォン(スマホ)」「ファンとのコミュニケーション」という三つのキーワードが浮かび上がってきた。EC企業にとって、15年を勝ち抜くための重要なヒントになりそうだ。

 EC業界の15年、間違いなくキーワードになるのは「スマホ」だ。ECモール「Qoo10」の運営を行うジオシスは「モバイルからの購入比率が70%を超えた」という。「近年の増加傾向からスマホ経由のアクセスがPC経由を上回るのは確実」(ネオスタンダード)という声もあり、EC業界にとってスマホの重要性が増している。Growでは「15年はスマホシフトがさらに加速する」とし、「スマホからのアクセスの利便性が問われる年になる」(同)と予測する。


コンテンツ強化へ

 「ファンとのコミュニケーション」の重要性にも、これまで以上に脚光が当たる年になりそうだ。コミュニケーション強化に向け、「エンターテインメント性の追求」やコンテンツ拡充にかじを切るEC企業が増えている。日本トイザらスでは「ECサイトにもエンタメ性を追求していく。これが表現できれば、子どもの記憶にも残り、リピートにつながる」と話す。ヤッホーブルーイングも「従来以上のコンテンツの拡充に必要性を感じている」と言う。アンシンサービス24も「潜在需要を掘り起こす提案を一層強化する」方針だといい、ニーズを創出するためコミュニケーションを強化する考えだ。


EC投資は増大へ

 EC業界に詳しい有識者からは「オムニチャネル化」が引き続き進むとの予測が目立った。w2ソリューションでは「オムニチャネル展開の強化に伴い、各社のEC事業投資はさらに増えるだろう」と予測する。(一社)ジャパンEコマースコンサルタント協会では「オムニチャネルは、中小零細EC企業が得意としてきた、顧客との密着性が高い領域にも手を伸ばす。中小零細は大手が手を出さないうちに次の一手を考えるべきである」と指摘する。


「海外展開」がカギ

 「ソーシャルマーケティング」や「海外販売」がキーワードになるとする有識者もいた。バリュークリエーションでは「ソーシャル広告を積極的に活用できているEC企業はまだまだ少ない」とし、「データを駆使したソーシャル広告の活用が本格化するだろう」と予測する。
 一方、Hameeでは「国内EC市場は全体的に伸長を続けているが、大手の参入など競争要因が増し、今まで通りの運営は通用しにくくなる」と分析、「円安をチャンスに変えるためにも海外市場への進出を検討することが重要」と指摘する。
 事業者からも海外販売への意欲の高まりは見受けられた。チケットストリートでは「海外から日本のチケットを買えるよう多言語対応を進めていきたい」と意気込む。ジオシスでは「積極的に海外展開したい出店社や、手軽に越境ECに取り組みたい出店者も容易に海外販売できるようにしたい」としている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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