食品EC市場において、有力企業の「新事業」「新業態」「新市場」など、領域を拡大する動きが目立っている。既存のブランドを進化させるだけでなく、新たな領域に事業を展開する企業が出てきた。冷凍宅配食大手のナッシュはドッグフードやスイーツに参入した。冷蔵宅配食サービスを提供するAntwayはシンガポールへの進出に動いている。食品ロス商品を販売するクラダシは、食品領域から飛び出し、系統用蓄電池事業に参入した。有力企業の活発化する新たな成長戦略に迫る。
■1.5億食を販売
冷凍宅配食「nosh(ナッシュ)」を提供するナッシュ(本社大阪府、田中智也代表)は25年12月、累計販売食数が1億5000万食を超えた。25年3月に累計販売食数が1億2000万食を超えたと発表しており、1年間で3000万食以上を販売していることが分かる。
ただ、ナッシュの担当者は「伸び率は若干以前より緩やかになっている。ここからさらに伸ばすためには、今までにやっていない新たなマーケティング施策が必要になる」とみている。
ナッシュは会社として社会全体を健康にすることを目標に掲げており、それは人だけに限らない。そこで第1弾として犬の健康をサポートするドッグフードブランド「nosh DOG(ナッシュドッグ)」の提供を開始した。今後、市況感を見ながら、人以外、単身者以外などに向けたサービスを展開する可能性は高い。
■資金調達経て海外展開へ
国内でのサービス拡大を背景に海外に進出する企業もいる。冷蔵おかずの宅配食サービス「つくりおき.jp」を運営するAntway(アントウェイ、本社東京都、前島恵CEO)は、今春をめどにシンガポールでのサービス展開を目指す。すでに25年10月には、現地法人を設立しており、シリーズDラウンドで調達した約33億円の資金を充当し、海外拠点の体制整備と製造能力強化を進めていく。
「つくりおき.jp」は調理経験の豊富なシェフと管理栄養士が監修し、専用キッチンで手作りした総菜を毎週冷蔵で届ける宅配食サービス。現在、1000レシピ以上の料理を週替わりで提供している。
シンガポールへの進出理由について、前島CEOは複数の勝ち筋を見出している。
「シンガポールはキッチンが狭く、自炊文化がそこまで浸透していない。一方で健康意識は非常に高く、小売店を訪れると、各食品に健康ランク(A~D)が付いていたりする。市場を見ると多様なサービスがあるものの、既存のデリバリーは油分や糖分が多いものが多く、毎日食べることに健康的ではないと感じている層が多い。当社のサービスを利用してもらえると思っている」(前島CEO)と説明する。
シンガポールでも、
(続きは、「日本ネット経済新聞」3月5日号で)
【有力食品EC企業の最新成長戦略】”領域拡大”の動き顕著に/新たな「事業」「業態」「市場」進出加速(2026年3月5日号)
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