ペットフード市場で、"療法食"の販売が拡大している。療法食とは、特定の疾病や健康状態に対応するよう栄養成分などが調整されたペットフード。これまでは、獣医師による対面診療の中で、診断や指導に基づき、食事療法の一環として、処方されるケースが一般的だった。ここ数年で、オンライン診療や、チャットツールによる相談などが普及したことなどから、ペットEC事業者の参入が急増、ECでの販売が急拡大しているという。療法食のEC事業者は、動物病院と提携したり、獣医師を社員として採用したりしながら、展開を強化しているようだ。一方、療法食市場で大きなシェアを持つロイヤルカナンジャポン(本社東京都)は24年10月、自社の療法食について、認定オンライン制度を導入。ECでの販路を実質上制限した。これまでロイヤルカナンの療法食を仕入れて販売していたEC事業者は、商品ラインアップの大幅な変更を余儀なくされた。療法食ECの市場構成が大きく変わるなか、ECにおける、ブランドのシェア争いはますます加速していっている。
■獣医師免許持つ取締役が処方
PETOKOTO(ペトコト、本社東京都)は24年10月、ペット用の療法食を発売した。通常のペットフードと同様、冷凍のフレッシュフードとなっている。
同社は、獣医師免許を持つ佐藤貴紀氏が取締役を務めている。ECでは、佐藤氏が自ら、療法食の処方を行っている。動物病院との提携を通じた販売も行っているという。「療法食はむやみやたらに食べさせて良いものではない。当社では、専属の獣医師などが確認した上でないと、療法食の購入が行えない仕組みになっている。社内に獣医師がいる当社ならではの強みだと思う」(大久保泰介社長)と話す。
マーケティングパートナー(本社東京都)は23年に腎臓ケアの療法食を発売。24年7月には、消化器ケアの療法食も発売した。同社の権田社長は、「近年犬の飼育頭数は減少傾向にあるものの、フードの売り上げは増えている。今後、ペットの高齢化に合わせ、療法食市場はさらに拡大していくだろう」とみている。「25年は展示会などを中心に、療法食の打ち出しを強化していく」(同)と話す。
同社では、療法食の成分や、1日の給与量の目安などをサイトに掲載している。獣医師が腎臓病について解説する記事も掲載。日常生活の中でできる、ペットの健康維持のための工夫をまとめたりもしている。「腎臓病で困っている飼い主」などが、ウェブで対応策を探す中で、同サイトを見つけ、流入するケースも少なくないという。
ペットフードや犬用おやつを販売するBuddycare(バディケア、本社鹿児島県)の原田和寿CEOも、療法食のニーズの高さを実感しているという。「当社では3種類の療法食を販売している。ニーズはかなり高く、商品開発をするメリットが大きいと感じている」(原田CEO)と話す。
一方、
(続きは、「日本ネット経済新聞」2月13日号で)
【ペット用療法食のEC市場】ペットECの参入が急増/ブランドシェア争いが加速(2025年2月13日号)
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