コーヒーEC市場には、原料価格高騰という向かい風が依然として吹き続けている。コーヒーEC各社は、値上げ対応などを行っているものの、急速で持続的な原料価格の高騰に値上げが追いつかず、利幅が減り、厳しい状態が続いている。大量生産が可能な大手企業はまだしも、中小企業やスタートアップ企業は、かなり苦しい状況のようだ。そんな中、商品ジャンルを拡大し、より付加価値を前面に押し出せるギフトに注力する企業も出てきている。食品ロス削減や農地支援など、環境対応の取り組みを打ち出すことにより、商品力の強化を図る企業も増えてきているようだ。コロナ禍の?お家コーヒー需要?の拡大で、急成長したコーヒーEC市場だったが、今後の生き残りには、販売戦略の工夫が必要になっていきそうだ。
21年以降、コーヒー豆の急騰が続いている。23年には落ち着く気配が見られたものの、24年から原料価格は再度高騰している。現在のコーヒー豆の価格は、豆の種類にもよるが、高騰以前と比べ、2倍以上というケースも珍しくなくなってきている。
コーヒーECでも、大多数の企業がここ数年で値上げを行っている。しかし、原料価格高騰が激しく、これまでのように利益をねん出するのは、難しくなっている。
■セット商品をギフトで
スペシャルティコーヒーなど高品質なコーヒーの認知が拡大してきたことにより、“コーヒーのギフト需要”が拡大しつつある。
路珈珈(ロココ、本社奈良県)は、通常のECの他に、ギフト専門のECも運営。飲み比べや、お菓子とセットにしたギフトを販売しており、5000円前後の商品が人気となっているようだ。
丸山珈琲(本社長野県)でもオンラインギフトの売れ行きが好調だという。
同社ではこれまで、コーヒー好きをターゲットに、コーヒー豆の販売を中心に行っていたが、数年前からドリップバッグやリキッドなど、飲みやすい商品を拡充している。「豆や粉だと、送り先が飲めるかが分からない。誰でも簡単に飲める商品を増やしたことにより、ギフト需要が一気に増えた」(丸山健太郎社長)と話す。
丸山珈琲では近年、コーヒーを配合したカステラやかりんとうなどの菓子を多数販売している。コーヒーと合わせ、セット販売している点も好調の要因となっているようだ。
■高単価を追い求める
これまで値上げをしてこなかったサザコーヒー(本社茨城県)は、24年4月に全商品で約20%の値上げをした。
(続きは、「日本ネット経済新聞」9月5日号で)
【コーヒーEC市場】「付加価値」「環境対応」で勝負(2024年9月5日号)
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