【中小企業のアマゾン活用】 老舗企業の新たな販路に/海外開拓で国内の減収補う企業も(2023年10月12日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 近年、日本の老舗企業が新たな販路としてAmazon(アマゾン)を活用する事例が増えている。これまで卸を中心に行ってきた、歴史ある企業が、市場の縮小を危惧し、新たな販路の開拓を模索するケースが多いようだ。シイタケの販売などを行ってきた杉本商店では、アマゾンを活用し、海外の販路を開拓。日本のシイタケ市場が縮小傾向にある中、増収につなげているという。西山酒造でも、国内の日本酒市場が縮小する中、ECで女性向けや若者向けの商品ラインアップを強化しているそうだ。アマゾンでも、こういった、ECに新規参入する老舗企業やスタートアップ企業に向けて、講演会を開催するなど、中小企業支援の取り組みを強化している。卸が中心だった企業がECに参入し、大きく売り上げを拡大する事例は、今後も増えていきそうだ。

■海外販売の可能性を

 1954年創業で、シイタケの卸などを行っている杉本商店(本社宮崎県)は、16年にECを開始した。現在は米国や、カナダ、欧州、シンガポールといった海外にも、アマゾン経由でシイタケを販売しているという。
 「国内ECは年々売り上げの規模が小さくなってきている。一方で、海外販売は好調で、EC全体では微増収となっている」(杉本和英社長)と話す。宮崎県の高千穂町に本社を構える同社は、「インフラなど、立地的に便利な場所ではない。そんな中、ECが新たな活路を見出してくれている。アマゾンのグローバルセリングが使いやすい点も魅力的だと感じている」(同)と話す。
 パソコン用のモニターなどを販売するJAPANNEXT(ジャパンネクスト、本社千葉県)も、海外市場に目を向けているという。
 16年から液晶モニターのECを開始したという同社。現在は、大手家電量販店に同社の商品が並ぶほどの注目企業となっている。「液晶モニターは、ビジネス用だけでなく、ゲーミング市場も強い。米国や中国、欧州のゲーミング市場の規模は日本の3~4倍あるだろう」(ベッカー・サムエル社長)と話す。
 同社では現在、アマゾンを通して、日本での販売だけでなく、欧州での販売も試験的に行っているという。「海外販売で重要になってくるのは、『日本でのポジション』だと考えている。日本で一番人気のモニターとなり、顧客の信頼を得ることが、海外人気にもつながってくるはずだ」(同)と話す。
 ゲーミング機器を販売する東プレも、海外展開を視野に入れている。同社は1935年設立で、金属の加工品や電子機器などを製造する企業だ。同社が業務用に販売していた、高機能のキーボードに、ゲーマーの注目が集まったことから、16年にゲーミング市場に参入したという。
 21年10月には自社でEC運営を開始。現在は、

(続きは、「日本ネット経済新聞」10月12日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ