【家電EC】 トレンドは”分かりやすく”/商品ジャンルを拡充する企業も急増(2023年7月13日号)

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ヤマダデンキのリユースセンターの様子

ヤマダデンキのリユースセンターの様子

 家電ECにおける商品需要が激変しつつある。白物家電においては、商品スペックやメーカーよりも、価格や分かりやすさが求められるようになっているという。タンタンコーポレーションでは、エアコンなどの白物家電を、「工事費込み、〇畳用、〇円」といったように、メーカーよりも、分かりやすさと価格を強く打ち出しており、好調のようだ。特定の商品ではなく、”とにかく分かりやすく”といった需要が増えているようだ。一方、家電ECの花形だった、テレビやレコーダーといった商品は、もはや必需品ではなくなりつつある。ヨドバシカメラやビックカメラ、タンタンコーポレーションなどは、家電需要の減少を受け、家電以外の商品ラインアップの拡充を進めている。ユーザーの、サイトへの来訪頻度を高めるのが狙いだ。ヤマダデンキのリユース品や、ストリームのレンタル家電など、環境への貢献を前面に押し出した売り方も増えてきている。

■「型番」より分かりやすさを

 冷蔵庫やエアコンといった白物家電については、「分かりやすい売り方」が、家電ECのトレンドとなっているようだ。
 タンタンコーポレーション(本社東京都)の丹澤直人副社長は、「10年前の消費者は、比較サイトを活用し、メーカーや細かいスペックを基準に家電を購入するのが一般的だった。だが現在では、メーカーは問わないというユーザーも増えた。おおまかなスペックだけ打ち出し、『〇〇円』などと価格訴求をした方が売れるようになっている」と話す。
 楽天市場のエアコンランキングでも、「工事費込、6畳、メーカー指定なし」といった商品が上位を占めることが多いという。特に白物家電では、一般的な売り方になっていきそうだ。


■「リユース」「レンタル」など多様な売り方を

 工場を増設するなど、近年リユース家電に注力しているヤマダデンキも、「型番を問わない売り方」に注目しているという。
 同社が販売しているリユース家電は、一点物のため、EC向きの商品ではないと考えられていた。そのため、これまでは、実店舗での販売が中心だったという。
 「同じ型番でも価格が異なる場合などもあったため、ECで販売するとLP作成が手間になってしまう。そのため、実店舗での販売が中心だった。そこでECでは、型番を指定せず、『新生活セット』のような形で販売する予定だ」(経営企画室兼サステナビリティ推進室執行役員・清村浩一室長)と話す。
 家電ECサイト「ECカレント」を運営するストリームは20年4月、家電レンタルサービス「Rentoco(レントコ)」を開始した。同サービスをスタートしたのは、「商品を購入する前に商品を試したい」という顧客の声がきっかけだったという。
 レンタルであれば、購入するよりも費用を安く抑えることができる。使用後の無駄な廃棄を抑えることにもつながる。レンタルした商品が気に入れば、購入することも可能。新品を購入するよりも、結果的に安く購入できるケースもあるという。


(続きは、「日本ネット経済新聞」7月13日号で)

ストリームの家電レンタルサービス「Rentoco」

ストリームの家電レンタルサービス「Rentoco」

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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