<家電リユース・リサイクルEC> 協業、買収で大手が取り組み強化/ヤマダは白物家電にも対応(2022年12月15日・22日合併号)

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新設したヤマダHDのリユース工場外観

新設したヤマダHDのリユース工場外観

 SDGsも追い風となり、広がりを見せているのが、家電のリユース・リサイクル市場だ。家電ECの市場においても、リユース・リサイクルの存在感は確実に増している。家電EC専業大手のエクスプライスは21年12月、リネットジャパンリサイクルと協業し、小型家電の宅配・リサイクルサービスを開始。ビックカメラグループのソフマップは21年12月、PCの買い取り・販売などを行うじゃんぱらを買収し、買い取りプラットフォームを強化した。スマートフォンやPCといった需要が高い商品だけではない。ヤマダホールディングスでは22年、「家電リユース工場」を新設し、白物家電のリユース販売を強化した。家電EC市場において、リユース・リサイクルの動きは、ますます活発化していきそうだ。

■発送で利便性向上

 家電のリユース・リサイクル販売には、商品の「回収」「買い取り」が必要不可欠だ。各社、独自の仕組みを作ったり、買収・協業を行ったりしながら事業の幅を拡大しているようだ。
 エクスプライス(本社東京都)は21年12月、リネットジャパンリサイクルと協業し、小型家電を宅配回収・リサイクルするサービスを開始した。PCやスマートフォン、ゲームなどの小型家電が同サービスの対象だ。小型家電を回収してもらいたいユーザーは、ECでチケットを購入し、回収日時などを入力する。あとは、不用品を段ボールに詰めて、回収業者に渡すだけというシステムだ。
 「段ボールに入れば何点でも税込1958円で回収する。当初は買い替え需要の促進を狙った施策だったが、単独で回収チケットを購入するユーザーも多い。同サービスを利用したいという理由で、別の商品が売れるケースも出てきており、新規顧客の獲得にもつながっている」(エクスプライス広報担当者)と話す。
 「昔は、廃品回収の業者がトラックで町内を回るということもあったが、今はほとんどなくなった。どう捨てていいか分からない、コード類なども多い」(同)と話す。
 ビックカメラグループのソフマップは18年に買い取りアプリ「ラクル」をリリースするなど、早くからリユース・リサイクルに注力してきた。21年12月には、小型家電の買い取り・販売事業を展開するじゃんぱらの全株式も取得。近年は、PCやスマートフォンといった小型家電だけでなく、アウトドア用品や楽器などにも、リユース・リサイクルの対象商品の幅を広げている。
 22年11月には、カー・バイク用品のリユース・リサイクルへの対応も開始した。
 リユース・リサイクル家電市場の活発化には、22年春の「半導体不足」も背景にあるようだ。ヤマダホールディングスでは「新品の家電不足もあり、代替品としてリユース家電が見直されている」(経営企画室兼サステナビリティ推進室執行役員・清村浩一室長)と話す。
 「物価高騰の影響もあるだろう。日用品の価格が上がったことにより、『家電の購入費用を抑えたい』と考える人が増えたのかもしれない」(同)と話す。


■リユース工場を新設

 ヤマダホールディングスは22年5月、群馬にリユース工場を新設した。新工場の稼働により、リユース製品の生産台数は、従来の倍以上に当たる、1日約500台となった。

(続きは、「日本ネット経済新聞」12月15日・22日合併号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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