【アフィリエイト広告新たな指針】 〈消費者庁〉広告主に事前確認求める/健全化に期待も、負担に懸念の声(2022年7月7日号)

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 消費者庁は、6月29日に公表した事業者に求める景品類の提供や表示の管理上の措置における指針の中で、広告主がアフィリエイト広告の事前チェックを行うことを定めた。広告主となる通販・EC事業者、アフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)、有識者は、アフィリエイト業界の健全化を期待する一方、指針の内容に全て対応することは難しいといった声が漏れる。

 新たな指針は、消費者庁が昨年6月から今年1月までに開催した「アフィリエイト広告等に関する検討会」を踏まえて策定した。既存の指針は、各事業者の内部向けに、管理上の措置を講じる際の事例を記載していた。
 しかし、アフィリイト広告は外部に作成を依頼することが多く、外部委託の場合に不当表示を未然に防止するための指針が示されていなかった。そのため、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」を一部改正することにした。「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の一部改定案とともに今年5月13日から6月13日まで意見公募を行った。
 新たな指針では、広告表記の責任主体は従来通り広告主とした上で、主に五つの内容を定めた=図表参照。
 図表(2)の広告の確認については、広告主とアフィリエイターの間で表示の確認が行われていない場合など、アフィリエイトプログラムを利用した広告主による広告とは認められないものは、「広告主が表示内容の決定に関与したとされることはないと考えられる」と説明した。ASPなどアフィリエイター側にも景表法の規制が及ぶことになる。


■掲載前の確認は負担

 新ガイドラインの影響などについて、通販・EC事業者、ASP、コンサルティング、専門家はどう捉えているのか。
 一般社団法人日本アフィリエイト協議会の笠井北斗代表理事は、悪質な広告主や広告供給元の減少につながり、業界の健全化とさらなる振興につながると受け止めている。
 一方で、景品表示法を含めた通販広告に詳しい薬事法広告研究所の稲留万希子代表は、「指針は強制力がないため、悪質事業者の抜本的な取り締まりとしては効果があまり期待できないのではないか」と指摘する。また、(2)に関連して、広告主とアフィリエイターとの間で表示に係る情報のやり取りが一切行われていない状況は通常考えにくく、あいまいさがあると疑問を呈している。
 化粧品・健康食品ブランド「フラコラ」の通販を手掛ける協和(本社東京都、堀内泰司社長)は、規制が強化されることで悪質なアフィリエイターなどが少なくなれば、消費者にも広告主にとっても有益になるとみている。ガイドラインをはじめ、アフィリエイト広告を厳しくみる流れが業界で強まっていることから、協和はアフェリエイトの縮小をすでに視野に入れている。

(続きは、「日本ネット経済新聞」7月7日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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