GMSネットスーパー/店舗連動サービスを強化/店舗受け取り、専用ロッカーが拡大

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「どーぞカウンターを設置した西友・成増店」

「どーぞカウンターを設置した西友・成増店」

ネットスーパーを展開する総合スーパー(GMS)が店舗と連動させたサービスを強化している。イオンでは、10月1日にPC向けのネットスーパーの注文サイトをリニューアルしたほか、九州でも店頭受け取りを開始。西友は9月29日、注文した商品を店頭で受け取れる「どーぞカウンター」を始めたほか、これまで試験的に実施してきた専用ロッカーでの受け取りも本格稼働させる。GMSの全体業績は苦戦が続いているが、食品を軸にしたネットスーパーは成長が目立つ。大手各社は既存店舗を持つ強みを生かし、ユーザーの利便性を高めて事業拡大を急ぐ。


西友は3年後に売上倍増
 ネットスーパーで売り上げが好調なのが、西友がDeNAと共同で運営する「SEIYUドットコム」だ。15年1―6月期(中間期)の売り上げは、前年同期比40%増で推移(売り上げ数値は非公開)。13年6月のグランドオープン時と比較し、売り上げ、会員数とも約3倍の規模に拡大している。今後3年間で現在の2倍の事業規模に拡大していく計画だ。計画を達成するためには配送能力をさらに引き上げることが不可欠とみている。
 配送強化の一環として、16年5月をめどに、ネットスーパーの機能を付加した新設店を、東京・練馬にオープンする予定だ。店舗の2階をネットスーパー専用のバックヤードとし、1階を店舗とする。ウォルマートグループでも初めての「ハイブリッド型店舗」と位置付ける。
 これまでは、店舗内でピックアップした商品をバックヤードに運びピッキングしていたため、処理能力が限られていた。新型店舗では、生鮮品などを除く常温品などを2階のバックヤードに置き、約1万品目を取りそろえ、店頭の商品補充にも役立てる。また、ネットスーパー専用の従業員を配置し、出荷回数も増やす。複数の配送トラックが出入りできるようにし、1日の配送件数を現在の3~4倍に引き上げる。

専用ロッカーの設置広がる
 
 ネットスーパーで売り上げを拡大するためには配送能力の強化が必要となる。1コースあたりの配送件数を増やすか、配送トラックを増やすことで受注件数を引き上げる方法が考えられるが、多くのネットスーパーでは、2時間ごとに受注できる件数がすでに上限に到達。ユーザーのニーズに応えられていないという現状もあるようだ。
 また、自宅で商品を受け取らなければならない仕組みにも課題が出てきた。ユーザーが選べる配送時間帯は現在2時間ごとだが、商品を受け取るために自宅から離れられないことに不満を感じる利用者もいる。西友でも都心部を中心にこの傾向が目立ち、3年後の計画達成のためには、既存の配送以外の受け取り方法の開発が急務だった。
 西友ではこうした課題を解決する手段として、9月29日から商品注文時に受け取り店舗と時間帯を設定し、店頭で商品が受け取ることができる「どーぞカウンター」を始めた=写真。東京・成増店と千葉・行徳店を皮切りに、今後3年間で150店舗に拡大していく計画。
 15年3月から長野県内で試験的に実施してきた受け取り専用ロッカー「うけとロッカー」も首都圏で本格展開する。今後3年間で、買い物が不便な立地にある工場やオフィスなどへの設置も予定する。

(続きは日本ネット経済新聞 10月1日号で)

イオン「PCサイトを10月1日にリニューアル」

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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