【食品通販 インタビュー】 ベルーナ グルメ企画室 浅野福太郎室長/顧客視点の商品開発が強み

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 ベルーナの18年3月期、グルメ部門の売上高は前期比23.9%増の166億3900万円、営業利益は同26.3%増の7億5000万円だった。売上高は一時横ばいだったが、過去2年間は順調な伸びとなっている。そのきっかけとなったのが、顧客の立場に立った商品開発だ。食品部門を担当するグルメ企画室の浅野福太郎室長にグルメ部門の特徴を聞いた。

■冷凍加工が中心
 ─食品通販による売上高は。
 18年3月期で166億3900万円です。これは食品、花、ワイン、日本酒、卸も含めた数字です。
 ─ベルーナが取り扱っている食品の特徴は。
 冷凍加工食品で、通販でこれだけのラインアップと売り上げを上げているところでは他社にないと思います。冷凍のワンプレートおかずが人気です。食品宅配はチルドがメインで、チルドにはチルドの良さがありますが、冷凍は利便性が良くて通販に向いていると思います。
 ─グルメ企画室の人数は。
 37人です。商品の企画、調達だけでなく媒体も自分たちで制作しています。カタログ通販がメインなので、カタログの制作力という、お客さまにとっておいしそうに、より価値のある形で見ていただきたいというところを突き詰めています。食品カタログは頒布会の「いきいき家族」と単品の「笑顔の晴れごはん」がメインで、ワイン、日本酒、おせちもそれぞれ専門のカタログを発行しています。
 ─頒布会で人気のコースは。
 現在売れているのは「宅菜便」といって、主菜と副菜の4品がセットになっているワンプレートおかずシリーズです。1回に10食分を届けて、価格は4980円です。月に3回届けるのが人気となっています。お客さまの年齢は60〜70代が中心です。
 ─東京商工リサーチの調査によると、国内日本酒通販ではベルーナが売上高でトップだった。なぜ日本酒を売ろうと思ったのか。
 日本酒は02年から扱っていましたが、10年ほど低迷していました。お客さまのメリットに主眼を置き、業界の最安値を狙って5本のセット販売にしたところ、それが起爆剤となって売れ始めました。売れている商品は、ほとんどオリジナル商品です。
 ─オリジナルの日本酒はどうやって作るのか。
 当社として作りたい配合、味、価格を調整して、あとはコンセプトに合ったラベル、売り方を蔵元と話し合いながら製造しています。社内には利き酒師が3人います。取引のある蔵元は全国で120以上です。蔵元によって特徴があるので、どのようなコメを使うか、配合をどうするか、精米具合は何%にするか、いくらで売るために仕入れはどうするかを協議しています。

■おせち18億円へ
 ─商戦が始まった、おせちの販売は。
 売れています。ネットを中心に市場ができてきた感じです。売れ筋は「結(ゆい)」という和三段重で、当社のおせちランキングでは6年連続1位となっています。価格は1万円で、累計出荷件数は21万5000台。市場を見ると、ネットでの売れ筋が1万5800円だったので、そこを少し外してワンランク下の価格を狙いにいきました。
 ─おせちの配送状況は厳しくないか。
 厳しいですね。一昨年は12月30日届けをメインにしていましたが、昨年は12月29日をメインにして1日前倒ししました。
 ─今回のおせちの売り上げ目標は。
 17年度のおせちの売り上げは14億8000万円だったので、今年は前年対比2桁増の18億円にしたいですが、配送の問題もあるので慎重に取り組みたいと考えています。
 ─おせちに限らず、食品通販全般において配送は課題になっていると思うが、それに対する取り組みは。
 現状の宅配便問題は通販業界からすれば厳しい課題ですが、社長からは知恵を振り絞るチャンスだと言われています。もし課題がなかったら、何も考えずに今までやってきたことをやっていたのではないか。コストアップのタイミングだからこそ、もっと効率を高めたり、別のところでコストを下げる方法をひねり出したり、さまざまなアイデアが出てきます。そういった形で最終的に物流費のコスアップは十分吸収できるのではないかと考えています。
 ─グルメ部門としての抱負は。
 ここ数年業績が向上していますが、その要因は、お客さまの立場に立った商品開発だと思っています。グルメ部門も92年に創業以来、26年目に入ります。これまで数多くの成功事例があり、それに引っ張られすぎたところがありました。時代やお客さまのニーズが変わってきているのに、自分たちの商品やサービス、やり方に捉われすぎて、お客さまを見失っていました。これからもお客さまから見て価値のある商品を工夫して、ベルーナだから選んでもらえるようなものを作っていきたいと考えています。


【企業データ】
 食品通販の開始 1992年10月
 食品通販売上高 166億3900万円(18年3月期)
 取扱商品 食品全般 ワイン 日本酒

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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