〈消費者委員会〉 取引DPF法について議論/”努力義務”に懸念の声も (2021年11月25日号)

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 消費者委員会は11月19日開催の本会議で、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(以下、取引DPF法)について取り上げた。22年度の施行に向けた準備の状況などについて、消費者庁・消費者政策課の吉田恭子課長が説明、意見交換を行った。出席した委員からは、「法の制定はうれしいが、情報開示など、努力義務にとどまっている項目がある」などと懸念する声も上がった。消費者庁は、22年5月を目途に、取引DPF法の施行と官民協議会の立ち上げを目指す方針を示した。
 新法の内容として主に、(1)取引DPF提供者の努力義務(2)商品等の出品の停止(3)販売業者に係る情報の開示請求権(4)官民協議会・申出制度─の4項目を説明した。(1)の「努力義務」に関しては、消費者庁で指針を作成すると説明した。(2)の「出品停止」の対象となる商品や、(3)の「開示請求権」に該当する情報などに関しては、現在検討を進めているとした。
 (4)の「官民協議会」に関しては、来年度の施行以降に正式に設立する。21年11月2日には、「円滑な施行に向けての準備会」を立ち上げ、初会合を開催している。
 今後は、内閣府令の具体案について意見交換をするとともに、官民協議会の運営の方法についても意見交換を実施するという。
 消費者委員会からは、「消費者保護法という名前になっているが、情報開示などが努力義務になっている点は、現場として懸念している」との声が上がった。「実際の相談は、自主規制など守らない事業者がほとんどだ。相談の現場では、プラットフォームの悪質な事業者に悩まされている」との声も聞かれた。
 情報の開示請求の対象となる債権額の下限が1万円であることに対しては、「相談の中には、価格が1万円以下のものも多いため、1万円では対応しづらいかもしれない」との声も上がった。
 これに対して消費者庁は、「本法では、全てのDPFが対象となる。そのため、プラットフォームの規模や、ジャンルなどを類型化して議論を重ねる必要があると感じている。今後も現場の声を準備会や官民協議会で伝えて欲しい」と回答した。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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