〈特定商取引法〉 書面の電磁的交付を可能に/「承諾」の立証責任が焦点に

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 消費者委員会は2月4日の本会議で、特定商取引法において契約書面などを電磁的方法で交付することを可能にする建議案を取りまとめた。基本は紙での交付とするものの、消費者の”有効な”承諾を得た場合に、オンラインでの交付を認める方針を固めた。消費者の有効な承諾を得たかどうかの立証責任が、事業者にあることが焦点になっている。消費者庁は3月上旬にも、書面の電磁的交付を可能にする内容を盛り込んだ改正法案の提出を目指す。法案成立後、1年程度の猶予期間を経て施行される見通しだ。

 消費者委事務局が取りまとめた建議案には、「安易に承諾が取得されないようにすること」「承諾を得たかどうかの立証責任は事業者側にあることを明確化すること」などを盛り込んでいる(図1参照)。
 具体的な交付方法については、書面をPDF化したデータをメールで送付するなど、方法を限定していくことも必要だと明記した。
 消費者委は、「消費者が電磁的方法での書面交付の意味を理解した上で承諾する必要がある」としており、電話や口頭のみで「承諾」を取り付けることや、ウェブ画面において承諾することを基本に設定することには慎重であるべきという立場だ。クーリング・オフの起算点については、ガイドラインなどで明確化すべきとしている。
 消費者委の加納克利事務局長は、「ウェブなどで『承諾』にチェックしたからといって、その『承諾』が有効だとは断定できない。消費者と事業者との間でトラブルが発生した場合、事業者の責任となる」と明言した。丸山絵美子委員(慶応義塾大学法学部教授)は、建議案について異論はないとしつつも、「安易にウェブ画面で承諾することを認めてはいけない」とけん制した。
 特商法の運用に詳しいさくら共同法律事務所の千原曜弁護士によると、

(続きは、「日本流通産業新聞」2月11日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ